その部屋に住むことを思い描くこと、それが建物選びのポイントです!

2016/05/31

以前、設計者の方と話をした時に、羊羹切りのワンルームマンションはダサいという話になりました。私は「あー、この人は住みやすさとか考えてないのかな~」と思った次第です。羊羹切りの部屋とは、長方形で、玄関を入ったらすぐ廊下があり、キッチン、バス、トイレがあって、その向こうに部屋がある典型的なワンルームマンションのことを言います。

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羊羹切りのマンションは、床面積を最大限に効率よく稼ごうとしてマンションを設計すると、自然と生まれます。デザイン的にはあまりにも一般的なため、ダサいと感じるのかもしれません、しかしながら、羊羹切りのマンションが多いのは供給者側の論理だけではなく、需要者側のニーズもあります。生き残っているのには、それなりの理由があるのです。

羊羹切りのマンションはキッチンが廊下にあり、扉を隔てた先に部屋があります。実はこれが非常に重要な位置関係なのです。たまにデザインを意識して、部屋の中にキッチンを作っているマンションを見かけます。実はこのようなマンションは人気がありません。

キッチンが部屋の中に入っているタイプは、玄関からキッチンが丸見えでないため、一見するとデザイン的にはスッキリしています。しかしながら、このタイプは臭いが部屋にこもるという理由から、意外と嫌われます。特に料理を多少する女性の入居者からは嫌われます。部屋の中にある洋服に臭いが付いてしまう可能性があるからです。部屋とキッチンは、扉でセパレートできるタイプの方が、人気があります。

図面だけを見てワンルームマンションを選ぶ際は、キッチンの位置に注意しましょう。凝ったデザインで、キッチンが部屋の中に入ってしまっている物件であれば、避けた方が無難です。実は従来タイプの典型的な羊羹切りマンションの方が、底堅い人気があるのです。

設計者がカッコイイと思っているマンションと、住みやすいマンションは必ずしも一致しません。デザイナーズマンション自体は、否定はしませんが、凝り過ぎたデザインは住みにくさを生んでいる可能性もあります。建物選びは、生活者の視点をきちんと持つことが重要になります。