不動産投資を始めたら、貸主にはどんな義務が発生するの?

2016/03/23

賃貸借契約が始まると、借主と貸主との間に権利と義務が発生します。借主の主要な義務としては、賃料支払い義務と原状回復義務があります。貸主の方には修繕義務が発生します。そこで今回は貸主の義務についてお話いたします。

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貸主には民法で修繕義務が課されています。修繕の対象は貸主の資産です。そのため、物件を購入する際は、貸主の資産は何かを明確化しておく必要があります。ワンルームマンションの場合、特に注意が必要なのが、空調とウォシュレットです。

一昔前は、賃貸マンションに空調やウォシュレットは付いていないのが当たり前でした。しかしながら、空室対策で最初から設置するオーナーも増えたため、今では空調とウォシュレットが付いている物件は当たり前です。残念ながら、空調とウォシュレットは壊れやすい設備ですが、最初から付いていれば、それは貸主側で修繕するのが基本となります。

貸主と借主との間でトラブルが多いのは、原状回復についてです。原状回復は借主が借りたものを借りる前の状態に戻す「工事」です。修繕義務も貸主が壊れたものを修理する「工事」です。どちらも似たような「工事」なのですが、その義務が借主にも貸主にも課されているため、問題をややこしくします。

住宅の原状回復については、トラブルが多いため国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というのを策定しています。このガイドラインの中では、貸主と借主のどちらが何を原状回復工事すべきかを細かく規定しています。最近では、借主と貸主との間で、原状回復はこのガイドラインに従って行うことが一般的になってきました。

ガイドラインの基本的な考え方は、通常損耗と言われる建物の劣化に関しては貸主が修繕することになります。通常損耗は、例えばフローリングの色落ち等です。タバコのヤニによるクロスの変色は故意過失による損耗のため借主が負担する原状回復工事になります。

貸主も原状回復の負担が結構発生するため、費用として見込んでおくことが必要です。