以前、東京23区はワンルーム条例が厳しく、新規供給が少ないため投資に向いているという話を書きました。今回はもう少し、ワンルーム条例を掘り下げて、どの区が狙い目かを書いてみたいと思います。
ワンルームマンションを新たに建築する場合、1棟全体で投資採算性が合う必要があります。1棟全てがワンルームタイプであれば、賃料単価が高いため投資採算性が合います。しかしながら、1棟の中にファミリータイプの住戸が入ると、面積の広いファミリータイプが賃料単価を下げるため、1棟全体の投資採算性が悪化します。
つまり全てがワンルームであればNOI利回りが5%確保できるのに、ファミリータイプが入ることで、NOI利回りが3%に落ち込むという現象が生じます。ワンルーム条例はこの仕組みを利用しており、1棟全体の中にファミリータイプマンションを何割か作ることを義務付けています。そうすることで事業者の投資採算性が合わなくなり、新築できないようにしているのです。
ワンルーム条例は23区がそれぞれ独自のルールを定めており、規制の厳しさも異なります。不動産投資家としては、これを逆手に取り、住宅地として若者に人気があって、かつワンルーム条例が厳しい区に投資をするのがお勧めです。ワンルーム条例が厳しい区であれば、大型マンションが新規供給されることはほぼ無いため、新築供給に怯えることはありません。
通常、地方都市でアパート経営をしていると、隣の地主が新築アパートを建てると、元々のアパートの賃料が下がり、空室率も上がるとう悪影響が生じます。近くに新築マンションができることは、一番の脅威なのですが、それが避けられるのがワンルーム条例の厳しい区なのです。
23区内で住宅地として若者に人気があり、加えてワンルーム条例が厳しい区は、目黒区と渋谷区です。またピンポイントで北千住がある足立区もワンルーム条例が厳しい区です。文京区も比較的条例は厳しい方です。これらの区に共通していることは、ファミリータイプ住戸の設置基準が厳しい点です。
これらの区では築10年以内であれば、中古マンションでも非常に高い価値があります。ワンルーム条例を考慮して物件を選ぶことはとても大事なポイントになります。