簡単にはできない立退き、借地借家法の立退き規定を知っておこう!

2016/04/16

不動産投資を行うと、空室対策で頭を悩ます一方で、今の入居者を退去させたいという逆の悩みも生じることもあります。しかしながら、借地借家法では入居者を簡単に立ち退かせることは出来ません。そこで今回は立退きについて、お話いたします。

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借地借家法は立退きについて、以下のように定めています。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

少し長い条文ですが、最後の方に「正当の事由があると認められる場合でなければ」という下りがあります。これが、賃貸人の「正当事由」というものです。その少し手前の文章に「財産上の給付」という下りもあります。これは、「立退料」に該当します。

条文で定められている文章はこれだけであり、「正当事由」とは具体的に何なのか、「立退料」は具体的にいくらなのかが分かりません。正当事由や立退料は明確な定義がないため、裁判になった場合は、それぞれの事情を加味して司法の判断にゆだねられることになります。

正当事由の基本的な考え方は、自己使用の都合性というものがあります。自分でどうしても使う必要があるから退去して欲しいというのが基本です。そのため単純に建替えたいとか近隣に迷惑をかける入居者だからという理由だけでは正当事由にはなりません。このような弱い理由の場合、立退料を支払うことで正当事由を補完するという考え方をします。

立退きは非常に労力を要します。後々問題となるような入居者を入れないよう、事前に入居審査をしっかり行うことが肝心です。