郊外の土地で相続対策のためにアパートを建てるのは止めた方が良いです。今回は相続対策におけるアパート建築についてお話いたします。
アパートの様な賃貸物件を建てると相続税評価額を下げることが可能となり、相続対策となります。賃貸物件には、建物については借家権割合による評価減が適用され、土地については貸家建付地評価減が適用されます。
建物の固定資産税評価額は新築工事費の50~60%程度です。これに借家権割合の評価減30%が加わると、建物の相続税評価額は新築工事費の35~42%になります。また土地の評価額は「路線価×(1-借地権割合×借家権割合)」という計算式で評価されます。借家権割合というのは全国共通で30%です。借地権割合というのはエリアごとに指定されています。仮に借地権割合が70%の土地であれば、土地の評価額は「路線価×79%」となります。路線価は時価の80%程度ですので、最終的に貸家建付地による評価減は「時価×63%」となります。
さらに借入金については、そのまま相続税評価額からマイナスされるため、場合によってはアパートを全額借入金によって建築することで相続税評価額がゼロになることもあります。そのため、相続税を減らしたい地主と、お金を貸したい銀行、アパートを建てさせたいハウスメーカーの3者の利害が一致することになり、アパート建築は止まらないのです。
しかしながら、郊外のアパートはもはや供給過剰です。新築のアパートを建てても、10年もすれば賃貸経営は厳しくなります。最近では大家業も経営感覚が必要などと言われていますが、管理会社に賃料保証型のマスターリスをしていれば、経営に関与することなどほとんどありません。そのため自分で工夫する以前に、賃料を下げられ、どんどん収益が苦しくなってきます。
相続対策という意味であれば、都内のワンルームマンションも同じ効果があります。所有期間が10年を超える不動産であれば事業用資産の買換え特例を使い、23区内のワンルームマンションに資産を組み替えることも可能です。
リスクを冒してまで、無理に元々持っている土地と活用する必要はないのです。