本日は中小企業ならではの不動産を使った課題解決の話をします。
中小企業の特徴として、代表者の不動産と法人の不動産が入り組んだ状態にある場合が多いという点があります。例えば、代表者の個人所有の敷地の上に、法人が借地して建物を建てているようなケースです。他にも建物自体を代表者が個人所有しており、法人が借家しているケースや、法人所有の建物を代表者が居宅として使っているケースなど様々です。ここまでは一般的によくある話です。
次に中小企業のもう一つの特徴として代表者と法人の間でお金も入り組んだ状態にある場合が多いという点もあります。最も多いケースは代表者が法人にお金を貸す役員借入です。また法人が代表者にお金を貸し付けている状態になっている役員貸付というものもあります。役員借入が問題になることは少ないですが、役員貸付は問題になるケースが多いです。
役員貸付は法人が代表者にお金を貸している状態です。役員貸付は法人にお金を貸している金融機関が嫌がります。何故かというと、法人にお金を貸している金融機関からすると、自分たちが貸したお金が、法人を通じて代表者にお金が流れているような懸念を持ってしまうからです。
役員貸付は、実際に生活費などとして代表者にお金が流れてしまうケースもありますが、会計上の不備で役員貸付となってしまったケースもあります。役員貸付は返済しないと金利も発生する為、資産性のない未収入金も増えてしまいます。そのためバランスシートの見映えが悪く、定期的な返済をしないと金融機関が嫌がるのです。
役員貸付を返済するには、代表者の給与を引き上げて返済するのが原則ですが、この方法はあまりお勧めできません。役員報酬を上げると、個人所得が増え所得税が増えるとともに、会社が負担する社会保険料も増えるため、上げた報酬をそのまま返済に回せないからです。
そこでお勧めするのが、代表者が有している不動産を法人に売却、つまり代物弁済することで一気に役員貸付を解消する方法です。例えば、法人が借地している代表者の土地を法人に売却するといったケースです。法人と代表者との間で売買を行う場合、金額が恣意的になるため、不動産鑑定評価を取得し、その金額で売買を行うことになります。当社の鑑定評価の依頼で最も多いケースは、この代表者と法人間の代物弁済のための鑑定評価になります。
代表者と法人間の代物弁済によって役員貸付を解消する方法は、まさに中小企業ならではの課題解決と言えるでしょう。役員貸付の解消に困っている方は、是非、一度、検討してみてください。