いつ発生するか分からない費用は、どうやって見込んでおけば良いの?

2016/04/07

不動産賃貸業においては、入居者が退去した時に、オーナーが負担する原状回復費用と、次の入居者を探すための、入居者募集費用の2つが発生します。これらの費用は突発的に発生しますが、費用としては見込んでおきたい項目です。そこで、これらの費用はどのようにして見込んでおけばいいのか、見ていきたいと思います。

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まず入居者募集費用についての考え方です。最近では仲介手数料の他、業者AD(広告宣伝費)ということで、さらに1カ月分の賃料を支払うことが常態化してきました。業者ADとは自分が依頼した仲介業者が、さらに別の仲介業者を使って入居者を決めた時に、その別の仲介業者に対して支払われる広告宣伝費です。そのため、入居者募集費用として、1部屋当たり仲介手数料(1カ月分)+業者AD(1カ月分)で賃料の2カ月分が発生することになります。業者ADについては、特にいくらという決まりはないため、物件によって0~3ヶ月のバラつきがあります。

例えば月額賃料が10万円の部屋であれば、ADを1ヶ月とすると、入居者募集費用は20万円です。さらに、投資したワンルームマンションにおける入居者の平均入居期間を想定します。通常、都内の物件であれば、ワンルームの平均入居期間は4年程度と言われています。だいたい2回目の更新時に退去するというイメージです。これはあくまでも想定ですので、実際の入居期間はもっと長かったり、短かったりします。

平均回転期間を4年とすると、1年当たりの入居者募集費用は、4年間で馴らすことを考えれば、20万円×(1÷4年)ということになります。さらに物件の空室率を考えます。都内の物件であれば、空室率は概ね5%程度が標準的です。そのため逆に入居率は100%-5%で95%となります。つまり先ほどの入居者募集費用は、入居率まで加味すると、1部屋当たり、年間で20万円×(1÷4年)×95%と想定することができます。

同様にオーナーが負担する原状回復費用が、1部屋当たり4万円だとすると、4万円×(1÷4年)×95%が年間の原状回復費用となる訳です。

突発的な費用は、平均入居期間を想定することで、あらかじめ費用として見込むことが可能となります。