はじめに

2016/03/01

私がこの連載を書こうと思ったのは、あるサラリーマン個人投資家との出会いがきっかけです。その個人投資家をAさんと呼ぶことにします。Aさんは郊外の木造築古アパートを一気に何棟も購入していました。Aさんはとても勉強熱心で、専門用語もたくさん知っている方でした。その木造築古アパートを一気に買う投資スタイルも誰かに学んだらしく、Aさんには最終的に目指しているモデル像もありました。

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 私は、そのような投資スタイルそのものは否定しませんが、多額の借入をしてリスキーな投資を繰り返しているAさんを見て、やるせない気持ちになりました。私が最初にAさんと出会った時は、Aさんが投資を開始して半年程度過ぎた頃でした。その後、1か月後に会った時には、既に空室に悩み始めていました。

嘘か本当か知りませんが、個人の不動産投資家は9割が失敗すると言う人もいます。何をもって失敗なのかは分かりません。しかしながら、不動産賃貸業は江戸時代からある極めて原始的なビジネスです。それ程、失敗確率が高いビジネスではないはずです。

 

ただ、大きな書店に行くと、不動産投資のノウハウ本がズラリと並んでいます。その多くの本は個人投資家による成功体験本です。内容についても、再現性が低いものが多いことが気になります。ひょっとしたら、不動産投資に関する間違った情報が世の中に溢れかえっていることが、9割の失敗者を生んでいる可能性とも考えられます。

 

Aさんもこのような本を熱心に読んで投資を始めてしまったのかもしれません。しかしながら、もっと正しい情報が世の中に出ていたら、違う投資を行っていた可能性もあります。

 

私はワンルーム業者ではないため、不動産投資を押し売りするようなことはしません。また不動産の専門家であるため不動産投資を否定するようなこともしません。不動産投資は正しい知識に基づいて行えば、ちゃんとした事業になると思っています。そのため、不動産投資に関する正しい情報を専門家として発信しようと思い、この連載を書くことにしました。

 

私の発信する情報が、少しでも皆様の不動産投資の役に立てれば幸いです。