今回は不動産のアービトラージについてお話いたします。アービトラージは株式市場ではよく使われますが、不動産取引で使えることはできないか考えてみたいと思います。
アービトラージ(Arbitrage)とは裁定取引と訳され、金利差や価格差を利用して売買し利鞘を稼ぐ取引のことを指します。不動産の価格も求め方によって、金額が異なるため、それを利用することができれば不動産のアービトラージが可能となります。
不動産の鑑定評価において、マンションの価格を求める手法は3つあります。1つはコストに着目した手法で、原価法というアプローチを用い積算価格というコストの積み上げ価格を求める手法です。2つ目は取引事例に着目した手法で、取引事例比較法というアプローチを用い比準価格という相場に基づいた価格を求める手法です。3つ目は収益と利回りに着目した手法で、収益還元法というアプローチで収益価格という投資家目線の価格を求める手法です。
これら3つのアプローチで求めた価格は、それぞれ異なる価格が出てきます。特に分譲マンションの場合は、分譲マンションを貸す目的で購入する人は少ないため、収益還元法による収益価格は低く試算される傾向にあります。そのため取引事例比較法による比準価格との関係を比べると、収益価格<比準価格の関係が成り立ちます。ここに理論的な価格差が生じます。
収益価格は投資家目線の価格です。一方で比準価格は住む人の目線の価格です。自分で住む人にとっては、賃料などの収益性は関係ありません。つまり収益度外視の価格となるため、比準価格は収益価格よりも高くなるのです。
自分で住む人は、エンドユーザーと言われます。不動産は投資家に売るよりもエンドユーザーに売る方が高く売れるという性質を持ちます。つまり投資家からエンドユーザーに売るような売買を実現できればアービトラージは成立します。
このアービトラージを利用した不動産投資方法については、次回、このカテゴリ内でご紹介する予定です。