今回は借地にまつわる指標についてご紹介します。
1.借地権承諾料等の目安
継続中の普通借地権の場合、建物の建替えや第三者に借地権を譲渡する場合は、一般的に賃貸人に対して承諾料が支払われます。これらの承諾料の授受の慣行は地域によって異なり、個々の個別的な事情によって様々ですが、おおよその目安としては以下のような水準が多いです。
継続中の一時金 | 目安 | 範囲 |
借地権変更承諾料 | 更地価格の10% | 7~15% |
借地権の譲渡承諾料 | 借地権価格の10% | 8~14% |
更新料 | 年額地代の10倍 | 5~20倍 |
建替えもしくは増改築承諾料 | 更地価格の3% | 1~8% |
これらの一時金はかなりの高額となりますが、賃貸人に対する権利のバランスを調整するために支払われる額とも考えられています。普通借地の場合、賃貸人にとって地代は低く、また立退きをするにも正当事由が必要となります。
そのため地主としては一度、普通借地権を設定してしまうと、土地を「くれてやったようなものと同じ」感覚となります。借地借家法上では普通借地の場合、地主の権利がかなり弱いため、衡平性を保つためにもこのような商習慣が残っているのです。
2.地代の目安
一般に、地代の相場は固定資産税及び都市計画税「以下、固定資産税等」の3倍などと言われますが、これにもあまり根拠はありません。根拠的なものがあるとすれば、法人税法施行規則の第三章第四条に公益法人の収益事業の範囲が以下のようなものが定められている。
第三章 収益事業の範囲
(住宅用土地の貸付業で収益事業に該当しないものの要件)
第四条 令第五条第一項第五号 ヘ(不動産貸付業)に規定する財務省令で定める要件は、同号 ヘに規定する貸付業の貸付けの対価の額のうち、当該事業年度の貸付期間に係る収入金額の合計額が、当該貸付けに係る土地に課される固定資産税額及び都市計画税額で当該貸付期間に係るものの合計額に三を乗じて計算した金額以下であることとする。
これはお寺が地主として住宅地を借地した場合、地代が固定資産税等の3倍以内であれば、お寺に法人税を支払わなくても良いという規定です。国の方でもこのような規定を設けているということは、固定資産税等の3倍というのは地代の目安として広く知られていると解されるとも言えます。
3.相当地代との関係
一方で、地代の定価として、相当地代という考え方があります。相当地代は年額地代が「更地価格の6%程度」と言われています。相当地代を授受している場合は権利金の認定課税は行われません。相当地代は固定資産税等の3倍とは金額に大きな差があります。この差が借地権の「借り得部分」であり、「安く借りられる」という権利に経済価値が認められるのです。
「更地価格の6%」-「固定資産税等の3倍」=「借り得部分」
この「借り得部分」を5~6%の借地間差額還元法による利回りで割ったものが、借地権価格となります。理屈の上では、借地権価格イコール権利金相当額と考えることもできます。安い地代の場合は、その権利を買うために権利金を支払う、一方で定価の地代の場合は権利金を支払わなくて良いということになります。つまり概念として、権利金とは借地権価格とも捉えることができるのです。