賃貸借契約書に登場する連帯保証人、ポイントは抑止効果のある人選

2016/04/01

連帯保証人になって借金地獄、そんな話を聞いたこともある人も多いと思います。少し恐いイメージのある連帯保証人ですが、さらっと連帯保証人が登場してくる契約書が有ります。それは不動産の賃貸借契約書です。そこで今回は、賃貸借契約書に登場する連保証人について触れてみます。

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連帯保証人には「催告の抗弁権」・「検索の抗弁権」・「分別の利益」がありません。催告の抗弁権とは先に主たる債務者に請求するように要求する権利を言います。検索の抗弁権とは、連帯保証人から先に請求されたとしても、連帯保証人は、主たる債務者には弁済する資力があるから、まず主たる債務者から請求するように要求する権利を言います。分別の利益とは保証人が複数名いるときは頭数で按分した金額しか保証しないことを指します。連帯保証人はこれら3つが無いわけですから、連帯保証人は借りた本人である主たる債務者と同列と言えることができます。

このように、連帯保証人になると言うことは主たる債務者になることとほぼ同義なため、通常、連帯保証契約は、債権者と保証人間で書面による契約をする必要があります。しかしながら、通常、賃貸借契約では、貸主と借主、連帯保証人の3者で1つの契約書を締結するにとどまり、別途、保証人と賃貸人が保証契約をすることはありません。そこで、たまにこの連帯保証はそもそも無効なのではないかという勘違いが生じます。

一般には、不動産の賃貸借契約の場合、連帯保証人も連帯保証の定めのある賃貸借契約書に署名押印を行います。賃貸借契約書の中に連帯保証の規定と連帯保証人の署名押印があれば、別途賃貸人と連帯保証人が契約を結ばずとも、賃貸借契約書にて「書面による契約」の要件は満たされます。よって連帯保証人の規定と署名押印があれば連帯保証は有効です。

このような連帯保証人ですが、実際には連帯保証人に保証債務の負担能力よりも、抑止力という心理的効果を期待する場合が多いです。例えば身内の連来保証人には迷惑はかけられないといったような効果です。連帯保証人は法的な効力に加え人選も大事というのが一番のポイントなのかもしれません。