不動産オーナーって立場弱いです、知っておきたい借地借家法について

2016/03/07

不動産賃貸業を行うにあたり、一番重要な法律は借地借家法です。初心者の投資家にとって借地借家法の知識を得る機会は少ないため、物件購入後に思わぬトラブルに巻き込まれることは少なくありません。そこで今回は借地借家法を理解するために歴史的な背景についてお話いたします。

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借地借家法は、例えるなら労働基準法に良く似ています。労働基準法は、本来弱い立場である労働者を強力に保護しているため、企業はサボっている社員を簡単にクビにすることは出来ません。そのため経営者にとっては労働基準法が経営の足かせになっている現実もあります。

 

借地借家法では、借家人を強力に保護しています。例えば、家賃の不払いがある入居者に対して、すぐに退去させることはできません。また建替えをしたいという理由だけで入居者を退去させることもできません。入居者を退去させるにはオーナーは入居者に立退料を支払う必要があります。自分のものを返してもらうのに、お金を払わなければならないというのは本当に不思議な話です。

 

このように借地借家法では借家人が守られているため、賃貸人である不動産オーナーは法律的には弱い立場にあります。不動産投資をするということは、弱い立場の賃貸人になるという意識をどこかに持っておいた方が良いでしょう。

 

旧借地法、旧借家法は大正10年に制定されました。その後、昭和16年に2つの法律は重要な改正がされています。この際に借手側である借家人や借地人の立場が強固に守られるようになりました。昭和16年と言えば、戦時中の真っただ中です。この改正は戦争から帰還した借家人の生活を守るために借家人の地位を強固にしたためと言われています。

 

このような時代背景を経て変遷してきた借地借家法ですが、今では人口減少社会に入っており、マーケット環境の中でも借手市場になってきました。さらに法的にも借家人の方が強いため、昨今は、オーナー立場は非常に弱くなってきていると言えます。

 

今後も借地借家法については、ご紹介する予定です。