専任媒介契約を解除したい!費用や違約金はかかるの?解除方法を解説

2019/01/27

不動産を売りに出したものの、なかなか売れないということは良くあります。
理由はいくつか考えられますが、依頼した不動産会社の動きが悪く、売却が進まないことが原因となっているケースも多いです。

専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結してしまっている場合、他社に重ねて依頼することができないため、不動産会社を変更するには解除が必要となってきます。

原則として、専任媒介契約の解除は可能です。
不動産会社が専任媒介契約の義務履行に明確に反している場合なら、解除することはできます。

しかしながら、依頼者の一方的な都合により解除する場合には、違約金も請求され、トラブルとなることもあります。

そのため、専任媒介契約を解除するにあたっては、しっかりと解除のルールを知ることが重要になります。

そこで、この記事では「専任媒介契約の解除」について解説します。
お読み頂くことで、専任媒介契約の解除方法について分かるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。

この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役)
保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン

 

1.専任媒介契約とは

媒介とは、「仲介・あっせん」のことです。
媒介は、売主と買主との間に立って売買契約の成立に向けて尽力する行為をいいます。

媒介契約には、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」、「一般媒介契約」の3種類があります。

専任媒介契約または専属専任媒介契約とは、いずれも依頼者が依頼した不動産会社以外の他の不動産会社に重ねて売買・交換の媒介または代理を依頼することを禁止する媒介契約になります。

専任媒介契約と専属専任媒介契約の最大の違いは自己発見取引をできるかという点です。
自己発見取引とは、売主が自分で買主を探してくることを指します。

自己発見取引はできるのが専任媒介契約で、自己発見取引すらできないのが専属専任媒介契約になります。

一方で、一般媒介契約は他の不動産会社に重ねて仲介の依頼ができる契約です。
もちろん自己発見取引も認められています。

専任媒介契約または専属専任媒介契約は1社にしか仲介を依頼できないのに対し、一般媒介契約は何社でも仲介を依頼できる契約になります。

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、依頼先が1社に限定されてしまうため、その不動産会社が頑張って売却活動をしてくれないリスクがあります。

1社限定のリスクがあるため、依頼しては見たものの、「頼まなきゃ良かった・・・」と悩むことは十分にあり得るのです。

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2.媒介契約は口頭では成立しない

まず、媒介契約は口頭では成立しないということを知っておく必要があります。

民法上、契約は書面を取り交わさなくても契約できます。
しかしながら、口頭の媒介契約は、現実に媒介契約が成立しているかどうかあいまいで、またその内容も不明確なため過去に多くのトラブルがありました。

そこで昭和55年の宅地建物取引業法の改正により「媒介契約の明確化、書面化等により、依頼者の保護及び不動産流通市場の整備を図ること」を目的に媒介契約制度が創設されています。

媒介契約の書面化に関し、宅地建物取引業法では以下のように規定されています。

【宅地建物取引業法第34条の2】


1.宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない
・目的物件を特定するために必要な表示
・目的物件を売買すべき価額又はその評価額
・媒介契約の類型
・媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
・目的物件の指定流通機構への登録に関する事項
・報酬に関する事項
・その他国土交通省例・内閣府令で定める事項


このように、不動産会社には媒介契約書の書面交付義務があるため、口頭で媒介契約を成立させることはできません。

実務上、媒介契約は口頭で進み、売買契約時に媒介契約も同時に締結するということが多々あります。

専任媒介契約や専属専任媒介契約を解除したいと思っても、仮に媒介契約書を締結していない場合には、そもそも契約が成立していないことになります。

仮に、不動産会社側が専任媒介契約や専属専任媒介契約が成立していると主張したら、それはおかしいということです。

書面交付義務に違反した場合には、宅地建物取引業法第65条第2項第2号の規定により、業務停止等の行政処分の対象になります。

口頭契約の場合には、解除以前の問題となりますので、不動産会社にはそもそも契約が成立していない旨を主張するようにしましょう。

3.解除のルール

次に媒介契約をしっかり締結している場合について解説します。

媒介契約書には、解除について以下のような規定が設けられていることが多いです。

【契約の解除】


甲又は乙が(専属)専任媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合には、その相手方は、相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、(専属)専任媒介契約を解除することができます。


甲は売主(依頼者)、乙は不動産会社になります。
媒介契約書では、解除規定が設けられている以上、解除することは可能です。

ただし、解除ができるのは「媒介契約に定める義務の履行に関してその本旨に従った履行をしない場合」に限られています。

つまり、不動産会社が専任媒介契約や専属専任媒介契約の義務に反している場合には解除ができるということです。

しかしながら、例えば、「なんとなく気に食わない」、「動きが悪い気がする」、「他の不動産会社に頼みたくなった」等々の理由では解除できないということになります。

では、専任媒介契約や専属専任媒介契約における不動産会社の義務とは何でしょうか。
そこで次に専任媒介の義務について解説します。

4.専任媒介の義務とは

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、依頼者が1社にしか頼めないことから、依頼者は不動産会社から強く拘束を受けることになります。

そのため、専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した不動産会社には、法律で以下の3つの義務が課せられています。


1.指定流通機構への目的物件の登録義務
2.登録済証の交付義務
3.業務処理状況の報告義務


4-1.指定流通機構への目的物件の登録義務

専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した不動産会社は、指定流通機構(通称、「レインズ」)に対して、以下の期日内に物件登録しなければならない義務があります。


専任媒介契約   ・・・ 契約締結の日から7日※以内に登録
専属専任媒介契約 ・・・ 契約締結の日から5日※以内に登録
※不動産会社の休業日は除きます。


レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)とは宅地建物取引業者専用のネットワークシステムです。

レインズは、不動産会社間が物件情報を共有しあうことで、迅速な取引を実現することを目的としたシステムになります。

レインズでは、全ての不動産会社が物件を見ることができますので、他の不動産会社が買主を紹介することもできます。
買主側を紹介し、買主から仲介手数料を受領する不動産会社のことを客付業者と呼びます。

専任媒介契約や専属専任媒介契約では、不動産会社が買主を見つけないと売買活動が停滞する可能性があります。

そこで、レインズで強制的に物件情報を公開すれば、客付業者を呼び込みやすくすることができます。

スムーズな売却を促すためにも、専任媒介契約や専属専任媒介契約をした不動産会社にはレインズに登録する義務があるのです。

4-2.登録済証の交付義務

レインズは不動産会社しか見ることができないシステムであるため、依頼者は不動産会社が登録義務を果たしたのかどうか知ることができません。

そこで、不動産会社には依頼者に対してレインズに物件登録をしたことを証する「登録済証の交付義務」が課されています。

登録済証は、不動産会社が物件登録をしなければ発行されない書面です。
登録済証を受け取れば、不動産会社は「指定流通機構への目的物件の登録義務」を果たしていることになります。

ただし、登録済証の交付に関しては、「遅滞なく」することとされており、明確な期日がありません。

専任媒介契約であれば7日、専属専任媒介契約であれば5日が目安となります。
7日や5日の登録期日は不動産会社の休業日は除きます。

目安の期限を過ぎても一向に登録済証の交付が無い場合には、専任媒介契約や専属専任媒介契約の義務に明確に違反していることになります。
明確な違反があれば解除は可能です。

4-3.業務処理状況の報告義務

専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結した不動産会社には、「業務処理状況の報告義務」も課されています。

報告義務は、契約によって頻度が以下のように規定されています。


専任媒介契約   ・・・ 2週間に1回以上の報告
専属専任媒介契約 ・・・ 1週間に1回以上の報告


報告の方法は媒介契約書に定めた方法となります。
電子メールでも構いません。
頻度に関しては、「1回以上」であれば、契約で定めれば何度でも良いことになっています。

報告義務に関しても、違反していれば明確な違反となります。
報告義務違反を理由に解除することは可能です。

4-4.成約に向けた積極的努力義務

「登録済証の交付義務」や「業務処理状況の報告義務」は、宅地建物取引業法第34条の2に明記された明確な義務です。

一方で、媒介契約書では、契約条文の中に宅地建物取引業者の「成約に向けた積極的努力義務」を定めていることが通常です。

【成約に向けた積極的努力義務】


契約の相手方を探索するとともに、契約の相手方との契約条件の調整等を行い、契約の成立に向けて積極的に努力すること。


積極的努力義務とは、何をもって積極的なのかが分からず、非常にあいまいで精神論的な規定です。

契約書上は、積極的努力義務に違反している場合でも、解除はできることになっています。
ただし、本当は裏でものすごく努力しているかもしれないため、積極的努力義務を元に契約解除を行うことは慎重に対応すべきです。

依頼者からの一方的な解除と解されてしまうと、違約金が請求されることがあります。
そこで次に費用や違約金が発生することがあるについて解説します。

5.費用や違約金が発生することがある

媒介契約書の中には、費用償還請求の規定が必ずあります。
費用償還請求とは、売主から一方的に解除されたときに、今までかかった費用を請求できるという規定です。

つまり、売主からすると「違約金」のような規定になります。
費用償還請求の規定とは、具体的に以下のような規定です。


第○○条 (専属)専任媒介契約の有効期間内において、乙の責めに帰すことができない事由によって(専属)専任媒介契約が解除されたときは、乙は、甲に対して、(専属)専任媒介契約の履行のために要した費用の償還を請求することができます。
2 前項の費用の額は、約定報酬額を超えることはできません。


乙とは不動産会社のことです。
不動産会社の義務違反ではないにも関わらず、契約が一方的に解除された場合には、不動産会社は今までの費用を売主に請求できます。

請求される可能性のある費用とは、具体的には以下のような費用になります。


・現地調査費用:交通費、写真代
・権利関係調査費用:交通日、謄本代
・販売活動費用:新聞・雑誌の広告費、通信費、現地案内交通費
・契約交渉費用:交通費


請求される費用は、約定報酬額を超えることはできないため、無限大になるわけではありません。
また、人件費は不動産会社側も立証しにくいため、請求されないことが多いです。

解除で難しいのは、積極的努力義務違反で解除をするケースです。

不動産会社にヤキモキして解除する場合、不動産会社は努力していたと主張してくれば、費用償還請求権を行使してくる可能性もゼロではないということです。

積極的努力義務違反のようなあいまいな理由による解除は、費用償還による違約金請求もあり得るということを理解しておきましょう。

6.専任媒介を解除する方法

この章では、積極的努力義務違反のような不明瞭な理由で専任媒介を解除する方法について解説します。

6-1.更新しない

専任媒介の解除はトラブルになる可能性もあるため、契約期間が終了するまで待ち、更新しないという方法を一番おススメします。

専任媒介契約と専属専任媒介契約は、法律で有効期間が最長で3ヶ月と定められています。
3ヶ月を超えて契約することはできず、3ヶ月超の契約期間で定めたとしても3ヶ月とみなされます。

また、専任媒介契約と専属専任媒介契約は契約を自動更新することはできません
もし更新する場合には、依頼者(売主)からの文書による申出によって更新することができます。

そのため、3ヶ月の契約期間を待てば、専任媒介は確実に終了することになります。

依頼をしてから、不動産会社に対してイライラし始めるのは、1~1.5ヶ月を過ぎたあたりからです。

2ヶ月ぐらいになると、「もう解除したい!」と思う気持ちになりますが、そこはグッと堪えて残りの期間を待つのが一番確実で、トラブルにもなりません。

契約を解除したければ、契約期間が過ぎるまで、原則、何もしないことです。

専任媒介で依頼した不動産会社が駄目だったというケースは良くあります。
そのようなとき、実際にはほとんどの人は契約期間終了まで待っています。

ただ、契約期間中に他社に依頼してはいけませんが、契約終了後に新たに依頼する不動産会社を探すことについては規制されていません。
実際、たいていの人は、有効期間終了まで次に依頼する不動産会社を探す準備期間に充てています。

専任媒介契約や専属専任媒介契約は、他の不動産会社に重ねて依頼してはいけません。
依頼はできませんが、次に依頼する不動産会社を探すのは自由です。

契約期間終了までの間に、次の不動産会社を探す場合は、きちんと「〇月〇日までは、専任媒介中です」と伝え、相談レベルに留めることが重要です。

重ねて依頼してしまうと契約違反となり、仲介手数料相当額の違約金が請求されることになります。

くれぐれも相談レベルにとどめ、不動産会社には、販売活動の開始を待ってもらうようにしてください。

また、ひょっとしたら、今の専任媒介中の不動産会社が逆転ホームランを打ってくる可能性もあります。
3ヶ月は、すぐに来ますので、何もせず、焦らず契約期間終了まで待つのが良いでしょう。

6-2.いきなり書面は送らずにまず話し合う

どうしても3ヶ月まで待てないということであれば、解除を申し出ることになります。
この場合、いきなり書面は送らず、まずは不動産会社と面と向かって話し合う方法をおススメします。

専任媒介の解除では、いきなり相手に解除書面を叩きつけようとする人がいます。
この対応が、そもそものトラブルの原因です。

何の予告もなしに、いきなり「契約解除します」と書面が来たら、「ケンカ売っているのか!?」という反応となってしまいます。
書面で解除通知を送られると、相手が反論する場がないため、頭に血が上ります。

長文のメールで叱られて嫌な気持ちになった経験のある人もいると思いますが、メールや書面というのは相手に反論の機会を与えないことから、逆上させてしまう原因となるのです。

逆上すれば、不動産会社も「これは一方的な解除だ!」となり費用償還請求を行使してくる可能性があります。
相手を怒らすような解除の仕方をするから、トラブルになるのです。

そもそも専任媒介の解除には「書面で行わなければならない」というルールはありません。

契約書上は「相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないときは、専属専任媒介契約を解除することができます。」とだけ記されているので、書面は絶対条件ではないのです。

そのため、解除したい場合には、まずは不動産会社に出向き、面と向かって解除の話し合いを行うことが上手く解除できるコツになります。

話し合いをして、もし決裂したとしても、3ヶ月の有効期間を待てば切ることはできます。
心の余裕は持てるはずなので、気楽な気持ちで話し合いに行ってください。

「ちょっとご相談したいことがあります」と言ってアポを取り、面と向かって契約を解除したい理由を「切々と、冷静に」訴えてください。

依頼者が専任媒介を解除したいと申し出るようなケースでは、実際に不動産会社にも非があることが多いです。

よほどおかしな会社ではない限り、依頼者が切々と解除したい理由を語れば、「お力になれず申し訳ございませんでした。解除については了解しました。」となるのが普通です。

そこで、費用償還のことを持ち出してくるようであれば、解除は取下げて、3ヶ月の終了を待つ方針に切り替えましょう。

解除は、やり方を間違えると、トラブルになります。
いきなり書面を送るような方法はNGですので、まずは面と向かって話合い、ソフトランディングを図るようにしてください。

7.新しい不動産会社は一般媒介で行う

専任媒介契約を解除したい人は、専任媒介にはもう十分懲りたと思います。
専任媒介契約が無事終了したあかつきには、次は一般媒介契約で売却することをおススメします。

一般媒介は、複数の不動産会社に同時に売却を依頼することができますので、売主にとっては有利な契約です。
1社よりは2社、2社よりは3社の力を借りた方が、売却できる確率は高まります。

従来から、一般媒介は売主にとって有利な契約形態であることは知られています。
有利な契約形態を使わない手はありません。

一般媒介を効果的に使うには、同タイミングで複数の不動産会社に依頼することが必要となります。

そのためには一括査定サイトを利用するのが一番便利です。
一括査定サイトは、同時に最大6社の不動産会社に査定依頼をできるサービスになります。

一般媒介と一括査定サイトはとても相性が良いです。
一括査定サイトを利用し、そのまま全社に一般媒介で依頼すれば、一気に売却を進めることができます。

一括査定サイトを使うのであれば、HOME4Uが一番おススメとなります。
HOME4Uは全国くまなく対応しており、大手から地元有力企業まで、実力のある会社がしっかりと登録されています。

新しく不動産会社を探すのであれば、次はHOME4Uを使って一般媒介で依頼するのが後悔しない売却方法となります。

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8.まとめ

以上、専任媒介契約を解除したい!費用や違約金はかかるの?方法を解説してきました。

不明瞭な理由で専任媒介を解除する場合には、基本的には3ヶ月の有効期間が切れるのを待つことを一番おススメします。

どうしても契約を切りたい場合には、面と向かって話合いを行うことが上手な解除方法です。

いきなり書面を送り付けると、逆上されて費用償還請求を受ける可能性があります。
気楽な気持ちで話合い、駄目だったら有効期間が切れるまで待ち、次の不動産会社を探す準備期間に充てるのが良いでしょう。

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