個人が支払うお金で100万円超すと、やっぱり高いなと感じます。
新車や私立大学の学費、子供の塾代等、100万円を超す支出は世間一般で高いものと認識されています。
不動産を売却するときの仲介手数料は、4,000万円の物件なら126万円、5,000万円の物件なら156万円もかかります。
仲介手数料は有名私立大学の1年分の学費よりも高いこともあり、高額な支出と感じる人は多いのではないでしょうか。
一方で、仲介手数料はあくまでの上限が定められているだけであり、値引きは可能です。
知っている人は、しっかり交渉して、ちゃっかり値引きしている世界でもあります。
そこで、この記事では仲介手数料を値引きする方法についてご紹介します。
不動産売却を進めるにあたり、今後の参考にして頂ければと思います。
この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役) 保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン |
目次
1.仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産を売却または購入した際、不動産会社に対して支払う報酬のことを指します。
仲介手数料は、別名、「媒介報酬」とも呼ばれています。
媒介とは、仲介、またはあっせんのことを意味します。
不動産会社が仲介手数料をもらうには、以下の3つの要件が必要となっています。
これは「媒介報酬請求権の3要件」と呼ばれています。
【媒介報酬請求権の要件】
1.業者と依頼者との間で媒介契約が成立していること
2.その契約に基づき業者が行う媒介行為が存在すること
3.その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること
この要件の中で、3つ目の「その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること」というのがポイントです。
報酬の請求権は売買契約等が有効に成立して、はじめて発生します。
つまり、仲介手数料とは「成功報酬」であるということになります。
不動産の売買では、売却や購入に至るまで、不動産会社に色々と尽力してもらいます。
不動産会社には人件費や謄本取得費用等の実費が発生していますが、売買が決まらない限り、これらの費用が請求されることは原則ありません。
成功報酬であるため、売買が決まれば支払いますが、決まらなければ支払わなくても良いというのが仲介手数料の特徴となります。
例えば、売却においては、最初に不動産会社に査定を依頼します。
査定には、結構な手間が発生しますが、必ず無料であり、査定料を請求されるということはありません。
不動産査定は、仲介手数料を得るための一連の営業行為であるため、成功していない以前の費用は請求できないためです。
まずは、仲介手数料は成功報酬であるという特徴を理解しておきましょう。
2.仲介手数料の相場
仲介手数料は報酬上限額が請求されることが多いので、相場は仲介手数料の上限額となっています。
仲介手数料の報酬上限額は、以下の速算式で計算される金額です。
不動産は金額が一般的に400万円超となることが多いため、仲介手数料は取引金額の「3%+6万円」が不動産会社から請求されます。
「3%+6万円」の6万円という変な数字は、報酬限度額が取引額に応じで料率が階段状に違うことに起因して発生しています。
6万円の理由については、以下の記事で詳しく紹介していますのでご参考ください。
【関連記事】
仲介手数料の計算式エクセル「3%+6万円」や「400万円以下」・消費税も解説
具体的に仲介手数料を計算してみると、以下のようになります。
売却価額が4,000万円の物件の場合
仲介手数料 = 取引金額 × 3% + 6万円
= 4,000万円 × 3% + 6万円
= 120万円 + 6万円
= 126万円
仲介手数料は、報酬上限額が相場となっていますが、実はマーケットが異なると相場も違ってきます。
近年、中国人が日本の不動産を頻繁に取引しています。
中国人も日本の不動産会社に仲介手数料を支払っていますが、中国人の支払う仲介手数料は、報酬上限額の「半額」が相場です。
日本人は律義に3%支払っていますが、中国人は1.5%しか払いません。
理由は分かりませんが、中国人は商売上手なので、恐らく「半額」という相場を日本の不動産市場で勝ち取ったからだと思われます。
「チュウカイテスウリョウハ、ハンガクデ、オネガイシマス。イヤナラ、ホカノ、カイシャニ、タノミマス。」というような交渉を繰り返していた結果、いつの間にか中国人相手の仲介手数料は半額が相場で定着したということなのでしょう。
また、日本人でもお医者さんなんかは、結構、仲介手数料を値切ってくる人は多いです。
「意外とケチ?」と感じてしまいますが、値切れると知っている人は仲介手数料をしっかりと交渉してきます。
では、中国人や日本人の医者がケチなのかというと、そういうことではありません。
ケチなのではなく、「交渉すれば下がる」という知識を持ち、実践しているからこそ下げられているのです。
報酬上限額は、定価ではなく、あくまでも最大値を定めたものとなります。
仲介手数料を下げたいのであれば、まずは仕組みをきちんと理解し、知識を身に着けた上で交渉していくことが必要です。
3.仲介手数料が値引きしにくい原因
個人の売主で仲介手数料を、実際に値引きする人は少数派です。
ほとんどの人が、「せっかく一生懸命やってくれたのに、申し訳ないから・・・」という理由で値引きを行いません。
「一生懸命やってくれた」と思うのであれば、感謝している証です。
そのように感じるのであれば相手の要求額をそのまま支払ってあげた方が良いでしょう。
また「申し訳ない」と思う人も値引きはしない方が良いと思います。
一方で、感謝の有無に関わらず、仲介手数料は値引きしにくい原因も存在します。
仲介手数料が値引きしにくい原因は、最初にお金の話を握らないためです。
仲介手数料は後から請求されることが一般的です。
不動産会社に売却を依頼すると、不動産会社はすぐに動いてくれます。
誰かに何かを依頼するとき、通常、「いくらでやってくれるの?」とお金の話を合意してから依頼するのが普通です。
ところが、不動産の売却ではお金の話は一切出ずに、不動産会社はどんどん動き始めることがほとんどです。
あっという間に、広告が打たれ、販売活動も開始し、そのうち売却も決まって媒介報酬の請求権が発生します。
そして、買主と売買契約を締結するタイミングで、はじめて不動産会社と媒介契約を締結します。
媒介報酬請求権の3要件の中には、「業者と依頼者との間で媒介契約が成立していること」という要件がありました。
媒介契約は売買契約時に締結することが多いため、ここではじめて媒介報酬請求権の3要件が揃うことになります。
仲介手数料に関しても、媒介契約をすることで、はじめて金額が正式に確定します。
しかしながら、売却が決まって「良かった、良かった」という気持ちとなっている中、仲介手数料の値引きを切り出すことは相当、難しいです。
売主としても本当は下げたいという気持ちはあるものの、「まぁ、良いか、頑張ってやってくれたし・・・」となり、下げられないケースがほとんどとなります。
このように、仲介手数料は金額が下げにくい状況で請求されるため、交渉しにくくなっています。
逆に、仲介手数料を下げるにはお金を最初に握ることが重要です。
売却の依頼をすると、販売活動がスルスルっと始まってしまいますが、その前に白黒はっきりさせることが必要です。
仲介手数料は、先手必勝で交渉することが重要となります。
4.媒介契約とは
媒介契約には、「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に重ねて媒介を依頼することができる媒介契約のことを指します。
それに対して、専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約になります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の違いは、自己発見取引をできるかどうかです。
自己発見取引とは、売主が自分で買主を探してくることを指します。
専任媒介契約では自己発見取引は可能ですが、専属専任媒介契約では自己発見取引すらできません。
仲介手数料に関しては、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類とも全てかかる費用は同じです。
理由としては、仲介手数料が成功報酬だからです。
一般媒介契約では、複数の不動産会社に仲介を依頼することもありますが、それでも仲介手数料は売買を決めてくれた1社にだけ払えば良いことになります。
そのため、一般媒介契約の仲介手数料は専任媒介契約や専属専任媒介契約と同じです。
媒介契約に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。
【関連記事】
一般媒介・専任媒介・レインズとは?不動産売却でおすすめの媒介契約を紹介
5.仲介手数料を値引する10個の方法
この章では仲介手数料を値引する10個の方法についてご紹介します。
5-1.最初に仲介手数料の条件を決める
仲介手数料を値切るには、最初に条件を握ってしまうのが一番効果的です。
中国人の値引き交渉は、このスタイルです。
不動産の売却は、依頼するとお金の話をする前に、媒介契約も締結せずにスルスルっと販売活動がスタートしてしまいます。
お金に関してうやむやな状況となってしまうのが、仲介手数料を交渉しにくくしている原因です。
そのため、仲介手数料は依頼する前に交渉し、そのタイミングで金額を値切ることが重要となります。
中国人が売買当事者となる取引も、媒介契約は買主との売買契約時に締結することが多いです。
取引の流れとしては、日本人を相手にした仲介と全く同じです。
しかしながら、仲介手数料は、最初の段階でがっちり握られているため、買主との売買契約時に媒介契約を締結しても、仲介手数料は既に半額となっています。
不動産会社も半額であることを知っていて仲介を行ったため、揉めることはありません。
依頼前の交渉するメリットとしては、交渉も簡単で揉めにくいということです。
交渉というよりは、値引きした条件でも「できますよ」と言ってくれる不動産会社を探すという方法になります。
良く、家電量販店で店員に対しスマホで「価格.com」の画面を見せながら交渉している人を見かけます。
「ここまで下げてくれたら、この場で買います。下げてくれないなら、ネットで買います。」という交渉方法と似ています。
不動産会社が動き出してしまうと、だんだんと交渉しにくくなります。
値引きしたければ、最初の段階で、仲介手数料を握ってしまいましょう。
5-2.専任媒介を交換条件とする
専任媒介や専属専任媒介の契約を交換条件に仲介手数料を下げるという方法もあります。
専任媒介や専属専任媒介は、1社にしか依頼できないため、不動産会社側からすると有利な条件の契約になります。
こちらから専任媒介という相手に有利な条件を提示するわけですから、相手からも仲介手数料の値引きを交換条件とするのです。
専任媒介も依頼のタイミングで仲介手数料の条件を握るため、前節で紹介した方法と基本的には同じです。
ただ、「専任媒介」という有利な条件付きであるため、交渉はしやすくなります。
もし、不動産会社が仲介手数料の値引き条件は応諾できないという話であれば、依頼する不動産会社を変えることになります。
5-3.一括査定サイトで仲介手数料の見積も取る
一括査定サイトを使って仲介手数料の相見積を取るという方法もあります。
一括査定サイトとは、インターネットを使って複数の不動産会社に無料で査定を依頼できるサービスです。
一括査定サイトは、多くのサイトが最大6社に査定依頼できるようになっています。
とりあえず、6社かき集めるには便利なサービスです。
一括査定サイトを利用すると、不動産会社が訪問査定に来てくれます。
その際、全ての会社に対して、「査定価格と仲介手数料の見積も一緒に持って来て欲しい」と依頼します。
「どこに依頼するかは、仲介手数料の安さも加味して決めます。」と一言加えておけば、仲介手数料も頑張って値下げしてくる不動産会社も現れます。
こちらから、値段を提示する必要もなく、不動産会社が自ら値下げした仲介手数料を提示してくれるので、気が楽です。
他の業界でも一括見積サイトはありますが、ほとんどのサイトは業者の受注する金額を相見積するサイトとなっています。
不動産の一括査定サイトは、仲介手数料を相見積できるサイトではありませんが、業者間を競合させているサイトであることに変わりはありません。
査定価格が一番高いところに依頼しなければならないというルールはないため、どこに依頼するかの条件を仲介手数料も含めて決めても構わないわけです。
一括査定サイトを使えば、「最初に仲介手数料の条件を決める」ことも自然と可能となります。
不動産会社同士の競合関係を上手く活かして、仲介手数料も下げてみましょう。
【関連記事】
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5-4.仲介手数料無料の不動産会社を探す
売主側であれば、仲介手数料を無料としている不動産会社もあります。
最初から仲介手数料無料の不動産会社を探すのも一つの手です。
ただし、仲介手数料無料の会社は専任媒介や専属専任媒介を条件としています。
無料の仕組みは買主から仲介手数料を取るためです。
専任媒介は嫌だという人はお勧めできません。
また、仲介手数料無料の会社は都心部であれば見つかりますが、その他の地域ではなかなか見つからず、数も少ないというのがデメリットです。
仲介手数料を1円も払いたくない人なら別ですが、多少払うつもりのある人であれば、実績のある不動産会社に依頼し、仲介手数料は値引きした方が良いでしょう。
5-5.査定価格に届かなかったら値引きする条件とする
売却額が査定価格に届かなかった場合には仲介手数料は値引きして欲しいと交渉するのも一つの方法です。
売却額は査定価格に届かないケースが多いため、比較的交渉のチャンスはあります。
ただし、この交渉だと売却額が査定価格に届いてしまった場合には、値引き交渉はできません。
査定価格に届いた場合には、高く売れて大成功ですので、仲介手数料に関しては割り切って満額払うということになります。
この方法も依頼前に言うことが、効果的です。
査定価格に届かなければ仲介手数料を値引きするという条件であれば、不動産会社もなんとか査定価格に届かせようと頑張ってくれます。
緊張感をもって売却活動をしてもらうためにも、依頼時に「査定額に届かなかったら仲介手数料は値引きして」という条件を加えるのも一つです。
5-6.しつこく言い続ける
なかなか仲介手数料の値引きに応じてくれない場合、とにかくしつこく言い続けるというのも効果のある方法です。
依頼前に仲介手数料を握っていないと、後から交渉するのは大変です。
依頼した後に仲介手数料の交渉をする場合には、とにかくしつこく言うのがコツになります。
実際、仲介手数料は値下げをしつこく言ってくる人の方が下がります。
営業マンも根負けして、「しょうがない、今回ばかりは値引くか」となれば諦めれば値引きは可能です。
仲介手数料を握らずに売却の依頼をしてしまった人は、早めに交渉することをおススメします。
多くの人は、仲介手数料を粘り強く交渉しようとはしません。
1回言ってみて、駄目だと諦めてしまう人がほとんどです。
そのような中、3~4回に渡り粘って交渉すると、営業マンとしてはかなりしつこい客に感じます。
最後は根負けして下げてくれることもあります。
例えばお医者さんなんかは、結構、強気で何度も交渉してきます。
交渉の胆力みたいなものが必要ですので、あきらめずに交渉してみてください。
5-7.お金が必要な売却は事情をきちんと説明する
お金に困って売却するケースで、お金が必要な場合には事情をきちんと説明して値引きするという方法もあります。
不動産の売却は、ローンの返済など、お金が必要で行う場合があります。
例えばマンションを買っては見たものの、ローンの支払いがきつく、戸建てに買い替えるようなケースです。
購入後、すぐに売却するような場合では、住宅ローン残債が売却価格を上回っているようなことがあります。
このような場合をオーバーローンと呼んでいます。
オーバーローンでの売却の場合、売却後に残るローン残債は貯金等を切り崩して返済することになります。
このような状況で高額な仲介手数料を支払うのは大変な負担です。
お金がない場合の売却であれば、きちんと不動産会社に仲介手数料は満額支払えない状況であることを説明する必要があります。
苦しい事情を抱えている場合は、不動産会社も理解してくれることは多いです。
それでも値引きに応じてくれない会社は、むしろ頼むべきではありません。
親切な不動産会社であれば、専任媒介を条件に買主から仲介手数料を取る形を提案してくれることもあります。
仲介手数料を支払えない理由がはっきりしていれば、営業マンも上司から値引きの応諾が取りやすくなります。
合理的な理由があれば、下手に交渉するのではなく、きちんと事情を説明して値引きを依頼するようにしましょう。
5-8.「3ヶ月」過ぎたら値引きする
専任媒介や専属専任媒介は、契約期間が3ヶ月を超えることはできません。
また、自動更新はできないため、3ヶ月を過ぎて売却できなかった場合、媒介契約は見直す一つのタイミングとなります。
3ヶ月を過ぎて売却できないような場合、更新するのであればそのタイミングで値引き交渉するのが一つの方法です。
ただし、3ヶ月を過ぎても売却できない場合、値引き交渉して更新するよりは、そのタイミングで不動産会社を切り替えてしまった方が良いケースが多いです。
仲介手数料を値引くと、その時点でさらにやる気をなくし、ますます売却できなくなる可能性も高まります。
媒介契約の更新のタイミングは値引き交渉できるチャンスではあるものの、更新はせずに新しい不動産会社に依頼してしまった方が良いでしょう。
5-9.大手に依頼しない
あくまでも一般論ですが、大手は仲介手数料を値引かない傾向にあります。
そのため、仲介手数料を値引きたいのであれば、大手には依頼しないというのも一つの方法です。
大手は、役員や事務職等の直接収益を生んでいない従業員も多く、家賃が高いところにも店舗を構えているため、会社の維持コストが高いです。
大手は、会社を維持していくためにも、安易に仲介手数料を値引くことはありません。
公益財団法人不動産流通推進センターが公表している2018不動産統計集によると、大手仲介会社の取扱高や手数料収入、仲介件数、店舗数等は以下のようになっています。
この表の中で、手数料収入を取扱高で割って、手数料率を算出してみました。
手数料率を見てみると、大手は5%を超えています。
手数料率が5%を超えているのは、両手仲介が多いためです。
両手仲介とは、売主と買主の双方に仲介を行い、売主からも買主からも仲介手数料をもらう仲介のことです。
両手仲介では、売主と買主から3%ずつの仲介手数料をもらうため、1回の取引で6%の仲介手数料を受領することができます。
手数料が5%台となっている会社は、それだけ両手仲介が多いことを意味します。
両手仲介は毎回行われているわけではないため、それでも手数料率が5%のように高いのは、仲介手数料がほとんど値引きされていないと推測されます。
大多数の両手仲介が6%で、たまにある片手仲介が3%となっていることにより、手数料率が5%のように高く維持されているのです。
絶対ではないですが、一般的に大手で仲介手数料を値引くのは難しい傾向にあります。
大手には大手のメリットがありますが、仲介手数料を値引きしたいという点を主眼に置くのであれば、大手は避けるというのも一つの方法です。
5-10.「6万円」を値引きする
仲介手数料は「3%+6万円」ですが、初歩的な交渉として6万円を値引きするという方法もあります。
この方法は、既に依頼をしてしまった後でも使える方法です。
不動産会社の営業マンの中には、この6万円の理由を分かっていない人もいます。
中には、「消費税です」という意味不明な説明をする営業マンもいるくらいです。
6万円について、「6万円って何?」と聞いて、回答がしどろもどろになるようであれば、底を突いて値引き交渉を行います。
6万円の値引きは大きくはないですが、最終的に使える切り札にはなります。
依頼をしてしまった後に値引き交渉をすると、不動産会社もなかなか折れてくれません。
しかしながら、6万円という盲腸みたいな部分については、「まぁ、6万円なら良いですよ」と言ってくれることも多いです。
「仲介手数料を満額支払うのは嫌だ」、「どうにか少しでも節約したい」という人にとっては、価値はあるものと思われます。
6万円は、最も値引きしやすい部分です。
初歩的な交渉ではありますが、打診してみる価値はありますので、トライしてみるのも良いでしょう。
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仲介手数料の計算式「3%+6万円」や「400万円以下」・消費税も解説
6.値引交渉する上での心構え
この章では仲介手数料の値引き交渉をする上での心構えについて解説します。
6-1.態度が急変する可能性がある
仲介手数料の値引きを切り出すと、営業マンの態度が急変することがあります。
今までニコニコしていたのに、急に真顔になって怖い雰囲気になるタイプもいます。
交渉に慣れていない人は、この雰囲気に負けて心が折れてしまいます。
相手は百戦錬磨なので、簡単に値引きには応じてくれません。
値引き交渉する以上は、覚悟を持って行うことが重要です。
6-2.やる気をなくされる可能性がある
値引きの話を切り出すと、あからさまにやる気をなくされる可能性もあります。
依頼した後に切り出せば、やる気をなくされ売却が上手く行かないことも起こりえます。
態度が急変される程度であれば良いですが、やる気までなくされてしまうのは売主としてはデメリットです。
不動産会社にとっては、100万円安く売ったとしても、仲介手数料が3万円程度しか下がりません。
やる気をなくして100万円程度値下げしても、不動産会社はあまり痛手はなないのです。
一方で、売主にとってみると、100万円も安くなれば、大きな問題となります。
仲介手数料は、高々3%程度ですので、値切るよりは不動産会社にやる気を持ってもらい、高く売った方が良いのです。
6-3.交渉のタイミングは依頼する前がベスト
値引き交渉で一番大切なのは、依頼する前に行うということです。
契約する前ではなくて、口頭で依頼する前に話をつけておくことがベストタイミングになります。
一旦、売却活動が走り出してしまうと、その後、値引き交渉できるタイミングがなかなかありません。
途中からやる気をなくされてしまえば、売主にとっても損となります。
一方で、最初から仲介手数料の値引きを納得してもらえば、途中でやる気をなくされるリスクはありません。
仕事を請けられない不動産会社には、最初から降りてもらうことになります。
交渉をして下げるよりは、最初から手数料が低い条件でも対応してくれる不動産会社を見つける方が、ずっと仲介手数料が下がります。
仲介手数料をどれだけ値引きできるかは、依頼する前に条件を握ることにかかっています。
交渉できる立場は、依頼前が一番強いので、タイミングを逃さず交渉するようにしましょう。
7.値引きよりも一般媒介がおススメ
仲介手数料は、金額だけを見れば確かに高いです。
物件の金額によっては、小さな新車が1台買えてしまう程度の金額にもなります。
一方で、料率だけを見ると、必ずしも高いとは言い切れません。
弁護士の成功報酬は20%ですし、消費税は2019年10月より10%にもなります。
クレジットカード支払では、店側が引かれるカード手数料は5%です。
このように、料率だけを見ると、3%の仲介手数料はむしろ良心的といえます。
考えようによっては、たったの3%と捉えることもできます。
例えば、仲介手数料が3万円アップするということは、売却価格が100万円アップするということを意味します。
手残りが97万円も増えるのなら、頑張って高く売った方が得るものは大きいです。
そのため、不動産売却では、仲介手数料の値引きにこだわり過ぎるよりも、高く売ることにこだわった方が得になります。
仲介手数料の値引き交渉で不動産会社との軋轢を生むよりは、少しでも高く売ってもらい、気持ちよく仲介手数料を支払ってしまった方が得るものが大きいです。
では、どのように高く売れば良いのかといえば、それは一般媒介契約を使って複数の不動産会社に売却を依頼することがおススメです。
一般媒介は、仲介手数料の仕組みを上手く活かした早く高く売る方法といえます。
仲介手数料には成功報酬という特徴がありました。
複数の不動産会社に一般媒介で依頼すれば、不動産会社間に仲介手数料を得るための競争関係が生まれます。
そのため、一般媒介を利用すれば、不動産を早く高く売ることができます。
ただし、不動産会社を競争させたのに、せっかく高く売ってくれた不動産会社に対して仲介手数料の値引きを要求するのは難しいと言えます。
一般媒介で依頼する場合には、仲介手数料は満額支払うという動機付けを交換条件として、高く売ってもらうのがコツになります。
一般媒介の売却は、一括査定サイトの利用が一番相性は良いです。
複数の不動産会社に一般媒介で依頼するには、実欲のある不動産会社が多く登録されているHOME4Uを利用するのがおススメとなります。
HOME4Uについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。
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HOME4Uの口コミや評判は?プロが評価するメリットとデメリットも解説
8.まとめ
以上、不動産売却で仲介手数料を値引きする10個の方法について解説してきました。
仲介手数料を値引きするには、依頼前のタイミングで手数料を握ってしまうのが一番効果はあります。
不動産会社との軋轢を生むのが嫌であれば、最初から割り切って複数の不動産会社に一般媒介で依頼をし、高く売ることを目指すことをおススメします。
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