家の購入は最初から100点満点の物件を見つけることは難しいです。
特に中古マンションは、いつ、どこで、どのような物件が売りに出されるかわからないため、完璧な物件を購入することは困難といえます。
中古マンションを選ぶ際は、完璧を目指そうとはせず、後でリフォームできる部分には目をつぶることも必要です。
一方で、中古マンションにはリフォームでは変えることができない部分もありますので、変えられない部分はしっかりとチェックすることが重要といえます。
そこでこの記事では、中古マンション購入の注意点として、「購入予算(4点)」、「周辺環境(4点)」、「建物およびその敷地(9点)」、「専有部分(13点)」、「その他(3点)」で合計33個のチェックしたいポイントについてご紹介します。
もちろん、33個のチェックポイントは、全て満たす必要はありません。
物件を選ぶ際、頭の隅に入れて置き、より良い中古マンションを見つけるための知識として役立てていただければ幸いです。
この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役) 保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン |
1.チェックリスト
本記事で紹介するチェックポイントについて、PDFでまとめてあります。
ぜひご参照ください。
尚、中古マンションを見に行く際は、以下のものを持参します。
1.チェックリスト
2.大きな家具や家電製品の寸法リスト
3.方位磁石
4.メジャー
5.間取り図(チラシ等)
6.周辺地図
7.筆記用具(画板もあると書きやすいです)
8.カメラ(デジカメや携帯等)
大きな家具や家電製品については、あらかじめ寸法を測っておき、現地で部屋に収まるかどうかを確認するようにしましょう。
メジャーは窓や部屋の寸法を測り、カーテンや家具の購入の参考にします。
間取り図には、現地でコンセントの位置を書き込んでおくと、後で非常に役立ちます。
周辺地図へは、売主から聞き出した周辺の環境情報をメモしておくようにしてください。
筆記用具は画板のようなものも持っていくと、現地でメモがとりやすくなります。
2.購入予算
良い物件であっても、予算的に無理な物件を購入すると、後で後悔することが多いです。
そこで、最初に購入予算のチェックポイントについてご紹介します。
2-1.ローンの返済比率
返済比率とは、額面年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。
返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収
適正な返済比率は20%以内で押さえるのが基本です。
銀行は返済比率を30%まで許容してくれますが、マンションの場合、住宅ローンの他、管理費や修繕積立金、駐車場代等が発生するため、返済比率が20%を超えるとかなり辛くなります。
無理をせず、返済比率が20%以下となるような住宅ローンを組むようにしてください。
尚、年収は夫婦の収入を合算して世帯収入として組むことも可能です。
ローン額を増やしたい場合には、夫婦で「連帯債務」や「連帯保証」の形を取り、世帯収入でローン審査を通すことになります。
2-2.ローンの年収倍率
年収倍率とは、額面年収に対して何倍程度の借入金総額を借りることができるかという倍率です。
適切な年収倍率は5倍です。
ただし、ローン期間を長くすると毎月の返済額が減るため、「返済比率」を20%以下に抑え
たまま「年収倍率」が5倍以上の金額を借りることができます。
35年ローンでは年収の6倍くらいまで伸ばしても適切な返済比率を維持することが可能です。
よって、年収倍率は「5~6倍」程度となっていれば大丈夫です。
銀行は8倍まで許容しますが、「5~6倍」程度に抑えるようにしてください。
年収倍率と返済比率であれば、返済比率の方が重要性は高いので、まずは返済比率を20%以内で押さえることを目標としましょう。
尚、住宅ローンの計算に当たっては、以下のサイトを使うと便利です。
ぜひご参照ください。
住宅ローン:住宅ローンシミュレーション
金利:一般財団法人 住宅金融普及協会
2-3.頭金
住宅の購入では、頭金は物件価格の20%程度を用意しておくことが理想です。
20%は無理だとしても、少なくとも10%以上の現金は用意しておいてください。
中古マンションの購入では、売買契約時に手付金を支払います。
手付金は売買代金の10%程度が相場です。
住宅ローンが実行されるのは、あくまでも引渡時です。
手付金は住宅ローンを借りる前に必要となりますので、最低ども手付金相当の頭金は用意しておきましょう。
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2-4.諸費用
中古マンションでは、物件価格の7~8%程度の諸費用が発生します。
頭金以外にも諸費用分は自己資金で用意しておくことが必要となります。
中古マンション購入時の諸費用項目は以下の通りです。
尚、頭金や諸費用については、以下の記事に詳しく記載しています。
ぜひご参照ください。
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3.周辺環境
不動産の購入は「環境の購入」ともいわれます。
周辺環境は、リフォームで変えることはできない部分ですので、非常に重要です。
周辺環境が気に入って購入したマンションは、満足度も高くなります。
この章では周辺環境の見るべきポイントについて解説します。
3-1.最寄駅
マンション購入を行うには、まず最寄駅をどこにするかを決めることが第一歩です。
まずは、自分たちの通勤や子供の通学がしやすい路線を選びます。
次にその路線の中で良い駅を選ぶのが順番です。
通勤に便利でも、異常に混む路線は、やはり通勤しにくいといえます。
また、22時以降に本数が激減するような路線も不便です。
最寄駅に関しては、夜間や土日ダイヤ、混雑状況等も考慮した上で決めるようにしましょう。
3-2.生活利便施設
マンションを購入する場合、周辺に食品スーパーなどの生活利便施設があるかどうかをしっかり確認するようにしてください。
特に、知らない土地のマンションを購入する場合、食品スーパーの調査が手薄な人が多いです。
スーパーが通いやすい場所にあるか、良い商品が売っているか、実際にスーパーで買い物してみることをおススメします。
最近は、SUUMOなどの広告だけを見て、周辺環境を調査せずにパッと物件を購入してしまう人が増えています。
周辺環境は実際にウロウロ歩いて見ないと分からないので、インターネット情報だけで決断してしまうのはリスクがあります。
SUUMO等で気に入った物件を見つけても、まずは一度、周辺の生活利便施設を確認した上で、購入を検討するようにしましょう。
3-3.医療施設
周辺に、内科や歯科、耳鼻科等の医療施設がきちんとあるかどうかを確認することも重要となります。
近くに医療モールがあると、何かと便利です。
自分が良く行きそうな診療科目についても、しっかりと確認しておきましょう。
3-4.学区及び治安
学区及び治安についても、評判を確認しておくことをおススメします。
特に子供がいなくても、学区の良いエリアは治安も良いエリアが多いので、学区の良し悪しを知ることは無駄ではありません。
新興住宅街や転勤族の多いエリア等は、比較的、学区が良い傾向にあります。
学区に良し悪しについては、地元の不動産会社なら知っていますので、子育て世代の人ならしっかり調査した上で物件を購入するようにしましょう。
4.建物およびその敷地
この章ではマンション全体の建物およびその敷地の注意点について解説します。
4-1.駅距離
最寄駅からの距離(以下、「駅距離」)はなるべく近いものを選ぶことがポイントです。
理想は徒歩5分以内の物件になります。
遠くても、徒歩10分以内までの物件を選ぶべきです。
駅距離が10分超の物件は将来的に売却するとき苦労しますので、10分超の物件はなるべく避けるようにしてください。
駅距離は、1分80mで換算され、切り捨て表示されるのがルールです。
80mなら徒歩1分ですが、81mなら徒歩2分と表示されます。
マンションの場合は、駅からマンション敷地の端部で測定した距離を表示してもOKとなっています。
そのため、駅5分と表示されていても、エレベーターの待ち時間や建物から敷地端部までの距離を含めると、7~8分近くになることが多いです。
マンションは、広告の駅距離よりも体感する駅距離の方が長いため、できるだけ駅に近い物件を選ぶようにしましょう。
4-2.築年数
中古マンションの購入では、築25年以内の築年数の物件を選ぶことが基本です。
築25年以内の物件は、「住宅ローン控除」や「登録免許税の軽減」、「住宅取得等資金の非課税特例」の適用ができる物件の要件の1つとなっています。
築25年超の物件を購入すると、原則として「住宅ローン控除」等の税金特例が利用できなくなります。
築25年超の物件でも、例外的に「築年数にかかわらず新耐震基準に適合する住宅であることが証明されたこと」または「既存住宅売買瑕疵保険に加入していること(加入後2年以内のものに限る)」等の要件を満たしていれば、税金特例を利用できます。
税制メリットをきちんと受けるには、まずは築25年以内の中古マンションを選ぶことが基本です。
尚、中古マンションの築年数については、以下の記事に詳しく記載しています。
ぜひご参照ください。
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4-3.管理費・修繕積立金
マンションでは、毎月、管理費及び修繕積立金が発生します。
住宅ローンを組む際は、管理費及び修繕積立金についても考慮して借りる金額を決定することが重要です。
修繕積立金は、5年ごとに改定されて金額が上がっていく物件が多いので、築古の物件ほど修繕積立金は高くなります。
また、戸数の少ないマンションも管理費及び修繕積立金が高いです。
さらに、タワーマンションは、戸数は多くても管理費及び修繕積立金が割高な傾向があります。
管理費及び修繕積立金は、「タワーマンションではない大型マンション」が一番安いので、金額を良く確認して購入するようにしてください。
4-4.修繕積立金の改定動向
修繕積立金の改定動向も確認しておくことがポイントです。
修繕積立金が増額されるケースでは、事前に管理組合で決定されているため、あらかじめ「いつから増額予定」と分かっているケースが多いです。
後から「こんなはずじゃなかった」とならないように、増額予定の有無についてあらかじめ確認しておくようにしてください。
逆に、増額直後であれば暫く上がりませんので、安心して購入することができます。
修繕積立金の改定動向については、しっかりチェックしておきましょう。
4-5.駐車場代
マンションで車を持つ場合は、駐車場代もかかります。
車を持っている人は、駐車場代も確認するようにしてください。
また、売主が車を持っていない場合、駐車場契約をしていないこともあります。
駐車場契約をしていない場合、買主が駐車場をすぐ利用できるとは限りません。
駐車場が余っていなければ、借りられないこともありますので、空きがあるかどうかも確認しておくことが重要です。
もし、駐車場がなければ、周辺の月極駐車場を借りることになります。
マンション内の駐車場がなければ、周辺の月極駐車場の有無や料金も確認しておきましょう。
4-6.駐車場仕様
マンションでは、駐車場仕様を確認し置くことも重要です。
マンションの駐車場は、大きく分けて「機械式」と「自走式」の2種類があります。
機械式とは、機械を使って車を立体的な空間に格納する駐車場のことです。
自走式とは、車庫まで直接自分で走行して停める駐車場になります。
車の入出庫のしやすさは、圧倒的に自走式の方が便利です。
機械式駐車場だと、例えば雨の日の朝など混雑時には車を出すまで20分以上も時間がかかるようなケースがあります。
駐車場に関しては、自走式の方が価値は高いです。
専有部だけでなく、必ず駐車場についても確認するようにしましょう。
4-7.セキュリティ
中古マンションでは、セキュリティもチェックポイントです。
近年のマンションでは、1階のエントランスがオートロックとなっており、部外者が入館できなくなっています。
しかしながら、古いマンションでは、誰でも玄関前までたどり着いてしまう構造となっているマンションもあります。
このようなマンションは、近年のマンションと比較するとセキュリティが著しく低いです。
誰でも玄関前までたどり着けるマンションは、自宅まで「セールス」や「勧誘」が押しかけて来ることもあります。
セキュリティは住み心地にも影響しますので、1階エントランスの構造をしっかりと確認するようにしましょう。
4-8.管理規約
マンションでは管理規約の確認もポイントとなります。
特にペットを飼いたい、ピアノや楽器を演奏したい、リフォームを行いたい等の希望を持っている人は、希望が叶うかどうかしっかりとチェックすることが重要です。
リフォームに関しては、使用可能な材質が規定されていることがあります。
リフォーム前提で中古マンションを購入予定の人は、特に管理規約はしっかりと確認するようにしてください。
また、管理規約でもペット禁止と書かれていても、実際にペットを飼っている人がいるマンションもあります。
規約に明記されていなくても、「小動物ならOK」という形で運用されていることもありますので、どこまでならOKか確認しておくことも必要です。
4-9.耐震性
中古マンションでは、耐震性のチェックも重要です。
日本の建物は、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認申請を通った建物については、全て新耐震基準の建物となります。
築25年以内の物件であれば、間違いなく新耐震基準の建物であるため、耐震性については問題ありません。
さらに、マンションの耐震性は、グレードの高い順から、「免震構造」、「制振構造」、「耐震構造」となります。
建築基準法通りに建てれば、全ての建物は新耐震基準の耐震構造です。
「免震構造」や「制振構造」は、建築基準法の新耐震基準を上回る基準で作った建物になります。
タワーマンションなどは免震構造の物件もあり、最高グレードの耐震性能ということです。
免震構造であれば、良いことに間違いありませんが、新耐震基準であれば耐震構造であっても耐震性は十分な性能があります。
仮に築25年以内の物件が購入できない場合でも、最低でも新耐震基準のマンションを購入した方が良いでしょう。
5.専有部分
この章では専有部分のチェックポイントについて解説します。
5-1.面積
中古マンションの購入では、面積が50㎡以上の物件を選ぶことが基本です。
専有面積が50㎡以上の物件は、「住宅ローン控除」や「登録免許税の軽減」、「住宅取得等資金の非課税特例」の適用ができる物件の要件の1つとなっています。
つまり、税制メリットを享受するには、「築25年以内」かつ「専有面積が50㎡以上」の中古マンションを購入する必要があるということです。
ここでいう専有面積とは、内法(うちのり)面積のことを指します。
内法は「ないほう」ではなく、「うちのり」と読みます。
内法面積とは登記簿謄本に記載されている面積です。
マンションの部屋の内壁から測った面積になります。
それに対して壁芯(へきしん)面積とはチラシやパンフレットに記載されている面積です。
隣の住戸との壁の中心から測った面積になります。
SUUMOやアットホームなどのインターネット広告に記載されている面積も全て壁芯面積です。
内法面積が50㎡以上の物件は、壁芯面積だと55㎡以上くらいです。
ただ、壁芯面積だけで内法面積を決めるのは危険ですので、必ず不動産会社に内法面積で50㎡以上かどうかを確認するようにして下さい。
5-2.日当たり
日当たりについても必ず確認するようにしてください。
まず、バルコニーの向きは価値の高い順から、南、東、西、北向きになります。
マンションを購入するなら、南向きまたは南東もしくは東向きにすべきです。
東向きは朝日が入ってくるため、朝の寝起きもスムーズになります。
北向きは非常に寒いため、完全にNGです。
西向きは、夏場、夕日の西日で部屋が異常に暑くなります。
許容範囲として、南西向きならギリギリOKです。
また、南向きであっても、低層階は日中ほとんど日が入らないことがあります。
低層階を買う人は、売主に確認したり、日中にこっそり見に行ったりして、しっかり確認するようにしてください。
マンションのバルコニーの向きは、リフォームで変えることができません。
また、仮に将来売却するときも、資産価値を落とす原因にもなります。
バルコニーの向きは妥協せずに選びましょう。
5-3.階数
マンションは基本的に階数が高いほど価値があります。
たまに小さい子供がいる人の中には、子供の足音を気にして1階に住む人がいますが、1階は避けた方が良いです。
1階は、通行人から家の中を覗かれる感じを受けますし、日当たりも悪く、湿気もひどいです。
子供はすぐに成長しますので、数年経てば家の中を走り回ることがなくなります。
また、低層階は防犯性が低いです。
マンションでは、4階以上の部屋になると、侵入窃盗の犯罪率が下がります。
防犯面を考慮すると、4階以上の部屋を買うことがおススメです。
5-4.間取り
間取りについては、部屋の数が適切かどうかを確認します。
家族構成は、子供の成長に伴い変わりますので、将来子供が巣立った後のことも考慮して購入することも必要です。
シニア世代が夫婦2人で住む場合は、2DKや1LDKを選択すると、光熱費等を節約することができます。
5-5.広さ
マンションは、部屋の広さを確認します。
主には、大きな家具が入るかどうか確認するようにしてください。
扉などの建具についても、幅をチェックしておくことが必要です。
5-6.設備
設備については、不具合がないかどうかを売主にヒアリングして確認します。
きちんとした売主であれば、設備に不具合事項について、付帯設備表と呼ばれる書面にて整理している人もいます。
売主が付帯設備表に記載済であれば、それを見せてもらい、不具合の内容を確認するようにしてください。
付帯設備表とは、以下のような資料です。
中古マンションでは、設備の多少の損傷については、容認した上で購入するのが一般的です。
重大な不具合出ない限り、その不具合は了解した上で購入します。
もし、買主として容認できない不具合があれば、売主に修繕してもらうことを条件に購入するようにしましょう。
尚、古いマンションは、マンション全体がWiFi等のインターネット速度が遅いことがあります。
戸建てから引っ越してくる人はインターネットやWiFiが遅く感じる人が多いです。
個別には改善できない点ですが、ある程度の速度があるかどうかは確認しておいた方が良いでしょう。
5-7.エアコン
中古マンションでは、エアコンが全部屋に設置できるかどうか確認することが重要です。
新しいマンションでは、全部屋エアコン設置可能というのが当然ですが、古いマンションでは室外機を置くスペースや配管がないため、エアコンが設置できないマンションというのもあります。
エアコンが設置できない部屋は、窓に直接設置するウィンドウエアコンで対応せざるを得ません。
ウィンドウエアコンは、音もうるさく、効きも悪いのが一般的です。
古いマンションではエアコンが付けられない部屋がある物件もありますので、注意して確認するようにしましょう。
ウィンドウエアコンの設置例
5-8.給湯器
マンションでは給湯器に関し、交換履歴を確認しておきます。
給湯器は、一般的に10年に1回くらいのペースで交換します。
交換したばかりであれば、しばらく交換する必要はありませんし、1度も交換していない物件であれば、購入後、すぐに交換が発生することも考えられます。
給湯器はいつ交換したのか、履歴をしっかりと確認するようにしてください。
5-9.収納
マンションは、基本的にどのマンションも収納不足ですので、収納をしっかりと確認することが重要です。
マンションの中には、たまにトランクルームが設置されている物件もあります。
トランクルームがあるマンションは、収納量が格段に上がります。
できればトランクルームはあった方が良いので、トランクルームの有無を含めて収納量を確認するようにしましょう。
マンション内のトランクルーム
5-10.開口部
マンションは戸建てと異なり、基本的に雨漏りやシロアリによる床下の腐食等の瑕疵(かし)はありません。
瑕疵とは通常有すべき品質を欠くことを指します。
ただし、唯一、マンションの瑕疵で心配なのが窓やバルコニー等の開口部のサッシからの雨水の浸入です。
過去、サッシから雨水の浸入があったかどうか、売主に確認するようにしてください。
もし、心配ならインスペクションと呼ばれる建物状況調査を行うと、瑕疵の有無をしっかりと調査してもらうことができます。
インスペクションとは、建物の専門家による目視検査です。
売主が了解してくれれば、買主の費用負担でもインスペクションを実施することはできます。
インスペクションについては、以下の記事に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。
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5-11.床の歩行感
マンションの施行の質は床の歩行感に現れることが多いです。
安普請(やすぶしん)のマンションは、歩いたときに床がプカプカする感じがし、たわみがある場合もあります。
特に、洗面所やキッチン、バス、トイレ付近の水回り周辺は、排水管があるため、床下が空洞です。
床下が空洞の部分は、施工の質の悪いマンションだと、普通に歩くだけで床が抜けそうな物件も存在します。
床のたわみに問題がないかについては、実際に歩いてみて確認するようにしましょう。
5-12.キッチン
専有部ではキッチンも確認すべきポイントです。
近年のマンションは、システムキッチン内に、電子レンジや食洗器、ディスポーザー等の設備が組み込まれています。
設備がある場合には、それらの設備がしっかり作動するか確認するようにしてください。
また、食洗器がない場合には、新たに食洗器を設置できるスペースがあるかどうかの確認も必要です。
コンセントの電源がない場合には、リフォーム後に電源を引き込めるかどうかの確認も必要となります。
また、キッチンはバルコニー側に配置されていると、ゴミをバルコニーにすぐに出せるため、便利です。
見た目だけでなく、素直な生活動線となっているかも確認することも重要です。
キッチンについては、最終的にはリフォームできますが、スペースそのものを広げたり、位置を大幅に変えたりすることはできません。
空間や配置については、しっかりと確認するようにしましょう。
5-13.バルコニー
バルコニー(ベランダ)についても確認を行います。
バルコニーについては、狭すぎないかどうかを確認することがポイントです。
古いマンションは、バルコニーが狭い物件が多いです。
スペースはある程度広く、洗濯物も干すことができ、ゴミやプランター等を置けるか、確認するようにしてください。
また、バルコニーにスロップシンク(流し台)があると良い物件といえます。
マンションは、子供の上履きや運動靴等を洗う場所がないので、ベランダにスロップシンクが設置されていると、ちょっとした洗い物をするのに便利です。
マンション見学時には、バルコニーについてもしっかりと確認するようにしましょう。
スロップシンクのあるバルコニー
6.その他
最後に、中古マンションを選ぶ際に見ておきたいその他のポイントについて紹介します。
6-1.取引態様
中古マンションの購入時は、物件広告にある取引態様をしっかり確認するようにしてください。
取引態様とは、物件広告を出している不動産会社の立場を表したものです。
取引態様が「売主」となっていると、不動産会社が売主ということを表しています。
不動産会社が売主となっている物件は、以下のような多くのメリットがあります。
- 仲介手数料が無料となる
- 住宅ローン控除額が大きくなる
- すまい給付金がもらえる可能性がある
- 買い替え特約の利用可能性がある
- 瑕疵担保責任が全部免責されない
- 手付金が保全される
取引態様が「売主」の物件は積極的に検討したい物件となりますので、ぜひチェックするようにしてください。
また、取引態様に「専任」と書かれている場合には、不動産会社が売主から専任媒介または専属専任媒介の契約を受けていることを意味します。
専任媒介または専属専任媒介とは、その不動産会社だけが仲介を行っていることを意味します。
他に売却活動をしている不動産会社が存在しないことから、他社からの横やりが入りにくいため、買主としては値引きしやすい物件となります。
取引態様を見ると、仲介手数料が無料となることや値引きのしやすさがわかるので、ぜひ確認するようにしましょう。
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6-2.リフォーム履歴
中古マンションでは、リフォーム履歴も確認する必要があります。
まず、違法なリフォームや管理規約に反するリフォームがなされていないか、不動産会社にしっかり確認するようにしてください。
また、相当昔に和室を洋室にリフォームしていることもあります。
元々和室だった部屋を洋室にしている場合、床が少し上がっており、バリアフリーにできないことが多いです。
購入後、リフォームしたい人は、元々の原状がどのような状態であったのか、しっかり確認するようにしましょう。
6-3.騒音・振動・臭気
マンションは、実際に見ないと騒音・振動・臭気等が分かりません。
特に、大きな幹線道路沿いに建っているマンションは、騒音・振動・臭気等をしっかりと確認することが重要です。
大きな幹線道路沿いのマンションは、窓を開けっ放しで過ごすと、家族が肺炎になってしまうことがあります。
気管支の弱い人や、小さなお子さんがいる人は、幹線道路沿いのマンションは避けるべきです。
実際にバルコニーにも出て、騒音や臭気、排気ガスの状況等はしっかり確認するようにしてください。
7.まとめ
以上、中古マンション購入の注意点について解説してきました。
これらの注意点は、あくまでも「注意すべき視点」であり、全て完璧を目指す必要はありません。
特に中古住宅は、完璧なものを望むことは難しいので、妥協できる部分は妥協して購入することがポイントです。
中古マンションには「値段の安さ」という最大の魅力があります。
安いわりに良い物件が買えるのが中古マンションの魅力です。
まずは周辺環境にこだわり、物件に関してはある程度の目をつぶって良い物件を見つけるようにしましょう。
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