不動産売却における付帯設備表・告知書の書き方および記入例を紹介

2018/10/25

マンションや戸建ての売却では、売主が付帯設備表および告知書を記載します。

付帯設備表や告知書は、事実を漏れなく記載することがポイントです。

 

ただ、いざ記載しようと思っても、どのように書いたらいいのか分からない人もいらっしゃると思います。

 

そこでこの記事では付帯設備表の告知書記載例、およびワード書式もご用意いたしました。

ワード書式は、売主が記載ミスや記載漏れをなくすために提供していますので、主旨を理解しご利用ください。

 

この記事を最後までお読みいただき、マンションや戸建ての売却に役立てて頂ければ幸いです。

1.付帯設備表とは

付帯設備表とは、売却対象となるマンションや戸建ての設備に関する状況について、買主に明確にして引渡すための書類です。

 

マンションや戸建ての売却では、売却後の設備に関するトラブルが非常に多いため、トラブル防止の観点から付帯設備表は必須の書類となります。

 

付帯設備表は、設備について「水まわり(キッチンなどのこと)」、「居住空間」、「玄関・窓・その他」の3つの部門に区分されています。

 

また、「設備の有無」の欄には、「有」、「無」、「撤去」の選択肢があり、「有」とした設備が引渡しの対象となります。

「有」と記入した設備の中で、故障・不具合等がある場合は、その状況を備考欄に記入します。

 

さらに、不具合だけではなく、設備を使用する上で、買主に伝えておいたほうがよいことも備考欄に記載しておきます。

 

尚、付帯設備表は引渡時点の状況を記載するものであり、現在の状況を記載するものではないという点がポイントです。

例えば、引渡にエアコンを撤去する予定であれば、「撤去」と記載しておきます。

 

付帯設備表は、早めに作っておくと、購入検討者に対しても参考情報と提供することができます。

売却活動がスムーズに進むため、売却が決まった段階で速やかに作成しましょう。

 

2.付帯設備表の記入例・書き方

以下に、付帯設備表の記入例・書き方を示します。

3.エアコン・ウォシュレットは撤去可能

マンションの売却などでは、エアコンやウォシュレットは取り外して売却しても良いかという質問を受けることがあります。

 

回答としては、エアコンやウォシュレットは取り外して売却して問題ありません

 

取り外して売却する場合には、必ず付帯設備表に「撤去」と記載するようにして下さい。

 

住ながらマンションや戸建てを売却する場合、購入希望者に物件の中を見てもらう内覧を行います。

内覧時は、エアコンやウォシュレットは付いたままの状態となっています。

 

撤去を予定する場合には、必ずどのエアコンやウォシュレットを撤去するのか、内覧までに決めておくことが重要です。

付帯設備表も内覧時までに作成し、渡しておくとトラブルになりません。

 

特に、エアコンに関しては、内覧時に「残しておきます」と言ったのに関わらず、引渡時に撤去してしまうと「話と違う」ということになり、トラブルの原因となります。

また、逆のパターンも同様です。

 

買主は、引渡に向けてエアコンを購入すべきか、購入しなくて良いのかを付帯設備表によって判断します。

エアコンに関しては、後で心変わりしないようにしてください。

 

尚、どうしてもやむを得ない理由で、エアコンの撤去の有無を変更する場合には、早めに不動産会社に相談して調整してもらうようにしましょう。

 

また、ウォシュレットに関しては、多くの買主が、購入後、新規のウォシュレットを自分で購入します。

 

そのため、ウォシュレットに関しては、「撤去」しておくと買主の処分費用が削減させるため、むしろ喜ばれることが多いです。

 

売主も引越先で再び使うことができますので、ウォシュレットは撤去して売却することをおススメします。

 

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4.瑕疵担保責任とは(2020年3月31日以前の民法)

この章の内容は2020年3月31日以前の売却のみ適用されます。

瑕疵(カシ)とは、売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠くことを言います。

 

民法では、瑕疵が発見されたとき、買主は「発見後1年間」は売主に対し損害賠償を、契約の目的を達成できない場合には解除を請求できると定めています。

売主が負う損賠賠償や契約解除の責任を瑕疵担保責任と呼びます。

 

民法の規定は、原則を定めている任意規定であり、売主と買主が合意をすれば、民法とは異なる特約を結ぶことが可能です。

 

通常、不動産の売却では、売主の瑕疵担保責任を全部免責または一部免責とします。

具体的には個人が売主の場合では、瑕疵担保責任を負う期間を3ヶ月とすることが多いです。

 

ただし、売主が瑕疵の存在を知っていながら買主に告知しなかった場合には、特約を結んでいても瑕疵担保責任を免れることはできません。

 

特約によって瑕疵担保責任を免責できるのは、売主も知らなかった「隠れた瑕疵」が対象となります。

 

よって、売主が瑕疵担保責任を負わないようにするには、売主は知っている瑕疵は全て告知書へ正直に記載しておくことが必要です。

 

瑕疵には、物理的瑕疵、法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵の4種類があります。

 

瑕疵の種類 具体例
物理的瑕疵 建物:雨漏り、シロアリ、耐震強度不足、家の傾き、土地:土壌汚染、地中障害物
法律的瑕疵 法令等の制限により取引物件の自由な使用収益が阻害されているもの
心理的瑕疵 取引物件で過去に自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において住み心地の良さを欠く場合
環境的瑕疵 近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近くに反社会的組織事務所があり安全で快適な生活が害されるおそれが高いような場合

 

法律的瑕疵に関しては、調査不足による不動産会社の責任となることが多いため、売主はあまり気にする必要はありません。

 

売主が、特に買主に告げるべき瑕疵は、「物理的瑕疵」と「心理的瑕疵」、「環境的瑕疵」の3つが重要となります。

 

5.契約不適合責任とは(2020年4月1日以降の民法)

2020年4月以降の民法では、瑕疵担保責任という概念は廃止されます。

新民法では、瑕疵担保責任が「契約不適合責任」に変わります。

 

契約不適合責任では、売却物件が「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」は、買主が保護されることになります。

 

旧民法では、瑕疵が「隠れた瑕疵」に限定されていましたが、契約不適合責任では隠れた瑕疵に限定されないということが大きなポイントとなります。

 

新民法では、契約不適合責任により、売主に対して以下の4つを請求することができます。

 

主張できる権利 請求内容
追完請求 目的物の補修、代替物の引渡または不足分の引渡による履行の追完を請求
代金減額請求 不適合の程度に応じて代金減額の請求
損害賠償請求 債務不履行の一般規定による損害賠償の請求
解除 解除を定める一般規定による解除権の行使

 

改正前では、買主が請求できたのは損害賠償と契約の目的を達成することができない場合の解除に限られていましたが、契約不適合責任では請求できる権利の幅が広がったと言えます。

 

尚、新民法の規定もあくまでも任意規定です。

従来通り、売主と買主との合意により全部または一部を免責する特約を締結しても有効となります。

 

任意規定は、あくまでも原則を定めただけの規定であり、特約を締結しなければ、民法の原則が適用されてしまうという点は、従来と同じです。

 

いずれにしても、実務上は売主がしっかりと瑕疵を告知するということに変わりはありません。

瑕疵に関しては正直に告知するようにしましょう。

 

6.告知書(物件状況確認書)とは

告知書(物件状況確認書)とは、売主が知っている瑕疵を買主に伝えるための書面になります。

付帯設備表は住宅設備だけに特化した書面ですが、告知書は物件全体を捉えた欠陥や不具合を買主に説明するための書面となります。

 

告知書は瑕疵担保責任(または契約不適合責任)やトラブル、将来の紛争等を回避するために、重要な書類となります。

 

告知書では、まず現状の瑕疵を記載します。

瑕疵には、物件に関する物理的瑕疵だけでなく、事件・事故・自殺等の心理的瑕疵、近隣の嫌悪施設等の環境的瑕疵もあります。

 

また、将来起こりうる環境的瑕疵が分かっている場合には、その影響についても記載します。

例えば、騒音・振動・臭気等の発生、近隣の建築計画等、今後物件に影響を及ぼす可能性のある事柄についても記載することになります。

 

一方で、告知書には物件の印象を向上させる役割を果たす記載部分もあります。

 

例えば、過去にシロアリの予防工事をしている場合など、プラス面も告知書に記載します。

過去に修繕や対策済みのものに関しては、買主に好印象を与えるため、告知書で積極的にアピールするようにして下さい。

 

告知書は、売主を瑕疵担保責任(または契約不適合責任)から守ってくれる重要な書類です。

知っていることは正直に告知するようにしましょう。

 

7.告知書の記入例・書き方

以下に告知書の記入例・書き方を示します。

尚、マンションにおける管理費・修繕積立金等の変更予定の記載例は以下の通りです。

8.付帯設備表・告知書を記載する上での注意点

付帯設備表や告知書については、売主が自分で必ず記載することが注意点となります。

 

付帯設備表や告知書で発生するトラブルは、不動産会社が代わりに書いてしまうことで原因となっていることがほとんどです。

 

売主は「面倒くさいので不動産会社に書かせてしまう」、また不動産会社もお客様からの依頼なので「断れずに書いてしまう」、これがトラブルの原因となります。

 

付帯設備表や告知書の内容は、元々、不動産会社では書けない内容であるから売主に書いてもらうのが主旨になります。

 

設備などは、普段使っている売主でないと不具合などは分かりません。

売主が撤去するつもりの設備でも、不動産会社が残すものだと思って「有」と表記してしまうミスもあります。

 

また、告知書についても、過去に実施した修繕状況や心理的瑕疵なども売主しか知らないことがほとんどです。

 

付帯設備表や告知書は、少し手間になりますが、必ず売主自身で記載するようにして下さい。

 

9.付帯設備表・告知書のword雛形

付帯設備表と告知書は、本来、不動産会社が記載することを防止するため、紙で渡されることが多いです。

 

しかしながら、紙だからこそ記載ミスや記入漏れなどが発生してしまうことも事実です。

そこで、ここではあえて付帯設備表と告知書のワード版を提供させて頂きます。

 

主旨を踏まえて、売主が自分で書くために利用するようにして下さい。

 

戸建て用・土地用 マンション用
付帯設備表 付帯設備(土地建物) 付帯設備(区分所有)
告知書(物件状況確認書) 告知書(土地建物) 告知書(区分所有)

 

マンションと戸建ては一部内容が異なりますので、間違えずに使用しましょう。

 

尚、更地売却のときの告知書は、戸建て用と同じものを利用します。

更地には設備がありませんので、更地売却では付帯設備表は不要です。

10.売買契約書で確認すべきポイント

売買契約書では、「告知書と付帯設備表」と「瑕疵担保責任」に関する部分について確認することがポイントです。

この章では売り主目線でチェックすべきポイントを紹介します。

 

10-1.告知書と付帯設備表

告知書と付帯設備表に関しては、以下のような条文を用いることが通常です。

 

(物件状況の告知)

第○条 売主は、本物件の状況について別添「物件状況確認書(告知書)」にて買主に告知するものとする。

(付帯設備の引渡し)

第○条 売主は、別添「付帯設備表」のうち「有」と記したものを、本物件引渡しと同時に買主に引渡す。

2 売主は、前項の付帯設備については、瑕疵担保責任を負わないものとする。

 

ポイントは、付帯設備に関しては瑕疵担保責任を負わないという点です。

付帯設備は瑕疵担保責任を負わない形になっているかどうかをしっかりと確認するようにして下さい。

 

10-2.瑕疵担保責任

瑕疵担保責任に関しては、「表題部」に以下のような瑕疵担保責任の全部免責、または一部負担する場合には負担する月数を記載します。

(K)瑕疵担保責任

 

そして、「売買契約書」の本文に瑕疵担保責任の条項を記載します。

瑕疵担保責任に関しては、以下のような条文を用いることが通常です。

(瑕疵担保責任)

第○条   買主は、売主が標記(K)において瑕疵担保責任を負担する場合は、本物件中、専有部分に隠れた瑕疵があり、この契約を締結した目的が達せられない場合は契約の解除を、その他の場合は損害賠償の請求を、売主に対してすることができる。

  2 契約の解除をした場合においても、買主に損害がある場合には、買主は売主に対し、損害賠償請求をすることができる。

    3 建物については、付帯設備を除き、買主は売主に対して、本条第1項の損害賠償に代え、又はこれとともに修補の請求をすることができる。

  4 本条による解除又は請求は、本物件の引渡し後標記(K)の期間を経過したときはできないものとする。

 

チェックポイントとしては、ここでも瑕疵担保の対象から付帯設備が除かれていることを確認します。

 

また、瑕疵担保期間を過ぎた場合には、責任を負わないことも明記されていることをチェックするようにして下さい。

 

11.まとめ

以上、不動産売却における付帯設備表・告知書の書き方および記入例を紹介してきました。

 

付帯設備表や告知書は、トラブルを防ぎ、売主自身も守ってくれる書類です。

いずれも正直に記入することがポイントとなります。

売却が決まったら、早速に付帯設備表と告知書の作成に取り掛かりましょう。