マンション売却で高く売れるタイミングと値引きタイミングを検証してみた

2019/03/29

「マンション売却 タイミング」と検索している人は多いようです。

タイミングと言っても、景気の時期や築年数、季節といった色々なタイミングがあります。
「はて、タイミングとは何のことだろう?」と思い、色々な人に「マンション売却 タイミング」って何のタイミングを知りたいと思っている人なのかを聞いて見ました。

すると、「もうマンションを売却することは決まっているけれど、あとはいつ売り出したら少しでも高く売れるのかというタイミングを知りたがっているのでは?」という声が多かったです。

だとすると、季節的なタイミングという話になります。
しかしながら、私自身、春ならマンション価格が高くなるとか、夏なら安くなるという話は聞いたことはないです。
不動産の鑑定評価でも、春だから鑑定評価額を高くして、夏だから鑑定評価額を低くするということはありません。

そのため、私自身、「マンション売却で高く売れるタイミングなんか存在するのか?」という疑問が湧きました。

そこで、マンション売却の「高く売れるタイミング」や「値引きタイミング」について、「そんなタイミングは存在するのか?」ということを客観的なデータをもとに検証しましたので、ご報告いたします。

この記事をお読みいただき、マンション売却のタイミングを計ることに役立てて頂ければと思います。

この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役)
保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン

1.タイミングには「築年数」・「時期」・「季節」の3つがある

一口に売却のタイミングと言っても、「築年数」や「時期」、「季節」などのタイミングがあります。

築年数なら、例えば「築何年目までなら高く売れるか?」というタイミングです。
時期なら、例えば「オリンピック前までなら高く売れるかも?」というタイミングとなります。
季節であれば、例えば「1月くらいから売却したら引越しシーズンに重なって高く売れるにでは?」というタイミングです。

私が周囲の人間に色々聞いたところ、「築年数や時期のタイミングなんて分かりきっていることだから、やっぱり1年のうちでどのタイミングで売り出すのが一番良いかを知りたいのでは?」という声が多い状況でした。

1-1.築年数のタイミング

一応、念のため築年数でベストな売却タイミングがあるかについて確認します。

以下に、東日本不動産流通機構が示している「首都圏のマンションの成約価格(実際の決り値のこと)と売出価格との築年数ごとの推移」を示します。

青いラインが成約単価、赤いラインが売出単価を示します。
パーセントの数字は、売出単価に対する成約単価の割合です。
「90.7%」と書かれていれば、1,000万円で売りに出したのに、決まったのは907万円だったということになります。

「築31年~」は少し上がっているように見えますが、これは統計上、「築31年~」の物件がすべて含まれてしまっており、高い物件も混じってしまっていることが原因です。

グラフを見る限り、マンション価格は築年数を追うごとに下がっていることが分かります。
マンション価格は、築40年くらいになると、ほぼ土地値だけで取引されます。

したがって下がり続けて価格がゼロになるわけではありません。
価格下落の原因は、建物価格が築年数を経過すると下がることが原因です。

マンション価格は、築年数を追うごとに下がるため、基本的には何年までに売ると高く売れるというタイミングは存在しないことになります。

ただし、中古マンションは築25年超となると、そのままでは購入者が住宅ローン控除を使えないため、売却しにくくなっていきます。
売出単価に対する成約単価の割合も79.5%で急に低くなっている現象が見られます。

築25年超を住宅ローン控除が使える物件にして、売却しやすくするには瑕疵(かし)担保保険(「既存住宅売買瑕疵保険」の略)を付保するという対策が必要です。

瑕疵担保保険とは、住宅の特定部分の隠れた瑕疵が見つかった場合に生じる補修費用などの経済的な負担を保険金でカバーすることができる保険です。
瑕疵とは、売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠くことをいいます。

マンション売却では、高く売れる築年数のタイミングは存在しませんが、売りやすいのは築25年以内というタイミングは存在します。

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1-2.時期のタイミング

次に時期についても念のため確認しておきます。
以下は、同じく東日本不動産流通機構が示している首都圏の中古マンションの価格と、東京都の地価公示・都道府県地価調査の平均価格について過去10年間の推移を示した図になります。

青いラインが首都圏の中古マンション価格で、赤いラインが東京都の地価平均になります。

首都圏のマンション価格は2013年以降、上昇傾向を示しています。
これは土地価格が上がっていることが理由です。

マンションの価格は土地価格と建物価格で構成されていますので、土地価格が上がれば、その分、マンション価格も上がります。

過去10年で見ると2008年9月はリーマンショック、2011年3月は東日本大震災が発生したため、国内景気が落ち込み、土地価格が下がりました。
土地価格が下がった時期は、マンション価格も下落傾向を示しています。

「時期」というタイミングにおいては、土地価格が上昇傾向中の2019年は「売りどき」といえます。
マンションは、好景気のときは「売りどき」のタイミングで、不景気のときは「買いどき」のタイミングということです。

国内の景気は、若干不透明感がありますが、一応、東京オリンピックの2020年までは好景気が持続するのではないかと予想されています。

ただし、2020年4月に民法の大改正があります。
2020年4月の民法改正では、マンションの売主が負う瑕疵担保責任が契約不適合責任という新たな責任に変わります。

改正後は実質的な売主責任は重くなるため、売主にとっては非常に面倒なことが発生します。
簡単にいうと、改正後の民法では、売却後に売主が買主から「あれ直せ、これ直せ」とか、「代金を減額しろ」と言われる可能性が出てきます。

現行の民法では、買主に「追完請求(直せという請求)」とか「代金減額請求」はありませんが、改正後の民法では認められるようになっていきます。
2020年4月以降は、売主は万全の準備を期して売却に臨む必要があります。

売却がかなり面倒臭くなりますので、売却することが決まっているのであれば2020年3月までに売却してしまいましょう。

【関連記事】

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いとは?民法改正は2020年4月1日から!

1-3.季節のタイミング

季節のタイミングについては、次章で詳しく解説します。

ここでは、季節のタイミングについて知る前に、売却のスケジュールをざっくりと紹介します。
マンション売却は査定から始まりますが、査定から引渡までは以下の通りです。

査定を依頼すると、1~2週間もするとすぐに売却活動に入ることができます。
販売期間については、3ヶ月をかけることが一般的です。
売買契約後から引渡までの間は、通常は1ヶ月ほど期間を開けます。

例えば3月中に引っ越したい場合には、3月頭もしくは2月下旬に売買契約を終えておく必要があります。

2月下旬に売却するのであれば、販売活動の開始は12月頭です。
査定など余裕をもって行うのであれば11月頭頃には査定を依頼するようにします。

つまり、査定のスタートは引渡のタイミングの5ヶ月前くらいからということになります。

尚、マンションは必ず3ヶ月以内で売却できるとは限りません。
マンション売却に半年以上の時間がかかるようなことも普通にあります。

引越の時期が決まっているようであれば、早めに準備し、余裕をもって売却に臨むようにしましょう。

2.高く売れるタイミングは存在しなかった

この章では、マンションが高く売れる季節のタイミングについて解説します。
結論からすると、マンションが高く売れる明確なタイミングというのは存在しませんでした。

以下は、東日本不動産流通機構が示している首都圏の中古マンションの過去5年における月別の成約価格を示します。
成約価格とは、実際に決まった価格のことを指します。

データは2014年から2018年の月別価格を用いています。
橙色の実線のグラフが5年間の平均値です。

前章でも示したように、首都圏の中古マンション価格は2013年以降上昇し続けています。
そのため、1月から12月の統計を取ると、右肩上がりとなります。

橙色の平均値は12月が一番高くなっていますが、これは統計期間が上昇期間中であることが原因であり、12月だから高く売れるということではありません。

グラフを見ると、どの月の価格が高いかというのは、各年によってバラバラです。
2014年は8月が高いですし、2017年は4月が高い結果となっています。

橙色の平均値を見ると、うっすらと3月や6月、9月あたりが高くなっていますが、飛びぬけて高いとまでは言えません。

価格については月ごとの変化がバラバラであり、明確に高い月や安い月というのは存在しないことになります。

つまり、価格については季節によって高くなったり安くなったりするものではないということになります。

むしろ重要なのは「時期」です。
2014年と2018年では、明らかにグラフの高さが異なります。

マンションを高く売るタイミングは時期が重要であり、季節は関係ないというのが結論です。

3.物件が売れやすいタイミングは確かに存在する

マンションが高く売れる季節のタイミングはありませんが、物件が売れやすいタイミングというものは存在します。

以下は、東日本不動産流通機構が示している首都圏の中古マンションの過去5年における月別の成約数を示します。
成約数とは、何件の売却が決まったかという数のことです。

成約数については、毎年、ほぼ同じ傾向が見られました。
橙色は5年間の平均値です。

成約数は毎年、3月が一番多く、8月が一番少なくなっています
3月は引越しシーズンで購入者が増え、8月はお盆休みがあるため購入者が少なくなるのが理由です。

成約数が多いということは、売りやすいことを意味しています。
例えば8月が100件中30件しか売れず、3月が100件中80件売れるということであれば、3月に売却した方が売りやすいです。

売りやすさは、具体的には価格ではなく、売却期間に影響していきます。
販売の標準期間は3ヶ月と説明しましたが、2月や3月に売りに出せば1~2ヶ月程度ですぐに売却できる可能性は十分にあります。

一方で、6月に売りに出すと、8月をまたいでしまうため3ヶ月以上の時間がかかるということもあり得ます。

つまり、売りやすさは8月よりも3月の方が売りやすいということです。

検証の結果、価格には高く売れる月のタイミングは存在しませんでしたが、売りやすい月のタイミングは存在します

グラフの山を見ると、もっとも売りやすいタイミングは2~3月です。
6月や9月も山が高くなっており、比較的売りやすくなっています。

よって、2~3月を狙って売却すると、特に価格が高くなることはありませんが、スピーディーな売却ができるというメリットがあります。
早く売りたい人は2~3月の売却がベストタイミングと言えるでしょう。

4.査定を取るタイミングはいつでも良い

月ごとで売却のしやすさには差がありましたが、価格には差がないため、査定を取るのは何月でも良いことになります。

4月に取ろうが、11月に取ろうが、価格は季節変動するものではありません。
価格面で損をすることはないため、売却のタイミングはいつでも良いことになります。

マンション売却では、まず査定を取ることからスタートします。
マンション査定では、NTTデータグループが運営するHOME4Uがおススメです。

理由としては、HOME4Uには、マンション売却で顧客からの評価の高い不動産会社が多く登録されているからです。

以下にオリコンが行っている「実際の利用者が評価した、オリコン顧客満足度ランキング(マンション編)」の結果を示します。

一括査定サイトには大手6社が登録されている「すまいValue」というのもあります。
「すまいValue」を比較対象として、「HOME4U」におけるランキング企業の登録状況を見てみます。

 

HOME4U」にはランキングのTOP5のうち4社が登録されており、「すまいValue」の登録企業は6位以下に集中しています。

マンション売却の査定では、HOME4Uが非常に優れたサイトであることが分かります。

査定のタイミングはいつでも構わないので、マンション売却をするのであれば、HOME4Uを使って査定を行いましょう。

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不動産一括査定って不安?デメリットや老舗度ランキングによるおすすめを紹介

5.値引きされやすいタイミングはない

次に値引きされやすいタイミングがあるのかについても検証してみます。

以下は、東日本不動産流通機構が示している首都圏の中古マンションの過去5年における月別の売出価格と成約価格を用いて、私の方で値引き率を求めました。
橙色は5年間の平均値です。

月ごとの値引き状況については、各年バラバラの結果となりました。
ひょっとしたら8月は値引き率が高いのかと期待しましたが、そのような結果とはなりませんでした。

3月は値引き率がうっすらと低くなっている気もしますが、大きく下がっているわけではありません。
2018年では、3月よりも4月の方が値引き率は低くなっており、一概に3月は値引きされにくいとも言えない状況です。

成約数の多い9月もうっすらと値引き率が低くなっている感じはします。
ただ、2014年や2017年は成約数が少ない8月も値引き率は低いです。

一方で、橙色の平均値を見ると、7月や10月は値引き率が高くなっています。
7月は、ひょっとしたら不動産会社から「8月になると売れにくくなるから値下げして7月中に売却した方が良いですよ」と言われて値下げしている人も多いのかもしれません。

10月にいたっては、理由はさっぱりわかりません。
7月や10月の値引き率が高いのは、たまたまという感じもします。

いずれにしても、値引きされやすいタイミングについては各年バラバラで、明確な傾向や理由は見当たらない状況です。
値引きされやすいタイミング、または値引きを受けにくいタイミングというのは、特段、存在しないと考えて良いでしょう。

6.売却を開始してからの値引きタイミングは4ヶ月目

この章では、売却を開始してからなかなか買主が決まらない場合、何ヶ月目に値引きすれば良いかという点について解説します。

価格を見直すタイミングは、ズバリ、4ヶ月目です。
査定価格とは3ヶ月間で売却できる価格ですので、査定価格で売却してみて、3ヶ月以上売れなかった場合は、その査定価格は高過ぎるということになります。

マンションは、基本的に長く売却すれば高く売れるものではないので、3ヶ月間で売れなければ価格を見直すのが基本です。

ただし、ここ数年はマンション価格が毎年のように上昇しています。
そのため、待てば待つほど価格が上がるのも事実です。

実際、すごい高い価格で売り出したマンションが、8ヶ月程度したら相場がその価格に近付いたため、値引きせずに売れたという事例もありました。
売却した時期が上昇トレンドに乗っているようなタイミングであれば、値引きしなくても待つと売れることもあります。

しかしながら、上昇トレンドはいつまで続くか分かりません。
国内景気が不景気になれば、「高くなるまで待つ戦法」は通用しなくなります。

一般的には、3ヶ月間粘って駄目であれば、4ヶ月目からは値引きするのがセオリーです。

7.値引きするのではなく一般媒介で仕切り直すのがおススメ

もし専任媒介で売却をしているのであれば、4ヶ月目から値引きをするのではなく、一般媒介に切替えることをおススメします。

不動産会社に依頼する仲介の契約のことを媒介契約と呼びます。
媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。

「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」は1社の不動産会社にしか依頼できない契約です。
「専属専任媒介契約」については、自分で買主を見つけてくることすらできない契約になります。
それに対して、「一般媒介契約」は同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。

3ヶ月間経ってもマンションが売却できない場合、売出価格ではなく、不動産会社にも原因があるかもしれません。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の契約期間は3ヶ月間ですので、3ヶ月終了時は不動産会社を見直す機会でもあります。

3ヶ月間で売却が決まらなかった場合、一般媒介で仕切り直すことですんなりと売却できたという人は多くいます。

4ヶ月目に別の不動産会社と専任媒介をしてしまうと、再び失敗してしまう可能性もあります。

一般媒介では、同時に複数の不動産会社に売却を依頼することができます。
同時に複数の不動産会社に売却を依頼すれば、不動産選びに失敗することは防げます。
4~5社に依頼すれば、ハズレもあるかもしれませんが、アタリもあるということです。

一般媒介に切替える際は、もう一度、査定を取り直すようにしてください。
マンションの査定は、HOME4Uがおススメです。

HOME4Uでは最大6社から査定を取れますので、そのまま全社に一般媒介で売却を依頼してしまうのがスムーズです。

HOME4Uは、その地域でマンションを得意とする不動産会社が自動で抽出されて最適な不動産会社が査定を行うシステムとなっています。

そのまま全社に一般媒介で依頼してしまえば、4ヶ月目からもスムーズに売却を続けることが可能です。
一般媒介では、不動産会社同士が競い合うことになりますので、値引きするよりも高く売れる可能性は十分にあります。

値引きをするよりも、良い対応方法ですので、専任媒介の契約期間が終了したら、一般媒介に切替えるのが良いでしょう。

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8.まとめ

以上、マンション売却で高く売れるタイミングと値引きタイミングについて解説してきました。

タイミングについて、まとめると以下のようになります。

  • 築年数には高く売れるタイミングは特にない。ただし、築25年以内までなら売りやすい。
  • 時期については好景気のときは「売りどき」のタイミングで、不景気のときは「買いどき」のタイミングとなる。ただし、民法改正を考慮すると2020年3月までに売却した方が良い。
  • 高く売れる月のタイミングは特にない。
  • 売りやすい月のタイミングは3月で、売りにくい月のタイミングは8月である。
  • 値引きされやすい月のタイミングも特にない。
  • 値引きのタイミングは販売から4ヶ月目であるが、値引きよりも一般媒介に切替える方が高く売れる可能性が高まる。

2019年の間であればいつでも高く売却できます。
タイミングを逃さず売却をスタートさせるようにしてください。

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