「マンション売却 平均期間」とか、「マンション売却 日数」等のキーワードで検索している人は多いようです。
統計上、マンション売却の平均期間は媒介契約をしてから売買契約が決まるまでの間で78.8日となっています。
つまり、販売に要する期間は約3ヶ月弱です。
また、近年、マンションの販売期間は長期化する傾向にあります。
長期化の原因は、売出中の物件が増えているためです。
販売期間の長期化を避けるためには、平均期間を過ぎてしまったときの対処法も知っておくことが重要となります。
そこでこの記事では、「マンション売却の平均期間」についてお伝えいたします。
この記事を読むことで、あなたはマンション売却の平均日数を知ることができ、かつ、平均間を過ぎてしまったときの対処法も知ることができます。
ぜひ最後までお読みください。
この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役) 保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン |
1.マンション売却の平均期間
マンションや戸建て等、不動産の平均売却期間は昔から約3ヶ月と言われています。
実際の統計上の平均でも売却期間は約3ヶ月となっています。
公益財団法人東日本不動産流通機による「首都圏不動産流通市場の動向(2018年) 」では、レインズに物件が登録されてから成約するまでの平均日数を公表しています。
過去10年間の平均日数を見てみると、以下のグラフの通りです。
この日数は、不動産会社がレインズと呼ばれるシステムに物件を登録してから、売却が決まるまでの日数を表しています。
レインズとは、不動産会社しか見ることのできないネットワークシステムのことです。
不動産会社は、売主から専任媒介契約、または専属専任媒介契約と呼ばれる仲介の依頼を受けると、レインズに売物件の情報を登録しなければいけないという義務があります。
媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
レインズへの登録日数は、専任媒介契約を締結したなら7日以内、専属専任媒介契約を締結しなら5日以内に不動産会社が登録しなければならないという決まりがあります。
例えば、2018年の登録から成約までに至る日数は「78.8日」でした。
仮に、専任媒介契約を受けた不動産会社が、7日後にレインズへ登録したとすると、依頼から成約までの日数は85.8日(=78.8日+7日)となります。
また、専属専任媒介契約を受けた不動産会社が、5日後にレインズへ登録したなら、依頼から成約までの日数が83.8日(=78.8日+5日)ということです。
統計上は、専任媒介契約と専属専任媒介契約が混ざっていますので、依頼から成約までの日数は概ね85日程度と考えて差し支えありません。
85日ですので、月数にすれば約3ヶ月弱ということになります。
一方で、マンション全体の売却期間はもう少し長くなります。
上のグラフの78.8日というのは、あくまでも販売活動の開始から売買契約の締結までの期間です。
下図の売却の流れのうち、赤枠で囲んだ部分が78.8日に該当します。
実際は、自宅の価格査定から不動産会社との媒介契約の締結までは、1~2週間はかかります。
また、売買契約締結から引渡までの間は1ヶ月程度かかるのが通常です。
その間、買主は住宅ローン審査を通し、売主は引越等の手配を整えます。
そのため、マンション売却の平均期間は、媒介契約締結までの期間や、売買契約から引渡までの期間を合わせると、全体で4.5ヶ月程度ということになります。
尚、全体スケジュールの中で最も不確実な部分は、販売活動開始から売買契約締結までの3ヶ月の部分です。
売買契約締結から引渡までの1ヶ月というのは、どの物件も基本的に同じになります。
査定から媒介契約の締結までの期間も、急ごうと思えば3日程度でも可能です。
一方で、販売活動開始から売買契約締結までの期間に関しては、2ヶ月程度になることもありますし、1年近くかかることもあります。
全体スケジュールを左右するのは「販売期間の部分」であり、販売期間が3ヶ月弱で終われば順当な売却であるということです。
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2.平均日数が伸びている理由
ここ数年、マンションは売りどきではありますが、マンションの売却期間に関しては長期化している傾向にあります。
マンション売却の平均日数が伸びている理由は、売出物件が増えていることが原因です。
ここ数年は今売ったらマンションは高く売れると思っている人が多いため、売出物件がどんどん増えています。
以下に、公益財団法人東日本不動産流通機によるレインズに登録された物件と成約した物件の過去10年間の推移を示します。
青のラインは登録件数、つまり売出物件の件数になります。
それに対して赤のラインは成約件数、つまり実際に売れた物件の件数です。
登録件数に関しては、2014年を境に増加傾向にあります。
一方で、成約物件は目立った増加傾向は見られません。
成約物件は増えていないのに、売出物件(登録件数)ばかりが増えていることがうかがえます。
現在は人口減少社会ですので、成約物件が増えないのは、ある意味当然です。
人が増えていないのに、売りに出される物件が増えれば、なかなか売れない物件も増えていきます。
ここで、前節で示した平均成約日数と登録件数の推移を以下のように重ね合わせてみます。
青のラインは登録から成約に至る日数になります。
それに対して赤のラインは登録件数、つまり売出物件の件数です。
成約に至る日数と登録件数には、強い正の相関が見られます。
登録件数が増えると、成約に至る日数も伸びるということです。
成約物件はあまり増えていませんので、「売れ残り物件」や「売却に苦戦している物件」が増えていることになります。
売出物件が増えた結果、マンション売却の平均期間は、ここ数年、長期化しているのです。
3.販売期間が3ヶ月を過ぎてしまった場合の対処法
マンション売却の平均期間は、売り物件が増えていることから長期化しています。
売却期間の長期化は売主にとっては好ましくはないので、3ヶ月過ぎてしまった場合はしっかりと対策していくことが重要です。
そこでこの章では販売期間が3ヶ月を過ぎてしまった場合の対処法について解説します。
3-1.価格を見直す
3ヶ月を過ぎても売却できない場合、まず行うべきことは価格の見直しになります。
3ヶ月で売れないということは、売出価格が高過ぎることが原因となっていることも多いです。
マンション売却では、最初に査定を行います。
査定価格とは、「3ヶ月程度で売れる価格」ですので、3ヶ月を過ぎても売れないということは、その査定価格は高過ぎるということです。
もし、複数の不動産会社から査定を取っているケースで、ずば抜けて高い査定価格を採用している場合には、それは売出価格の設定が悪かったということになります。
マンションは、過去に同じマンション内の他の部屋が何回も売買されていますので、「そのマンションは㎡いくら」という単価がだいたい決まっています。
その平均単価に対して、階数やバルコニーの向き等で若干の価格差を付けていきます。
例えば、南向きバルコニーをプラス10万円とするか、20万円とするかは不動産会社によって差がありますが、それでも大きく差がつくことはありません。
そのため、マンションの査定価格は、複数の不動産会社に依頼しても「大きくぶれないはず」という前提があります。
それにも関わらず、ずば抜けて高い査定価格は、適正な査定価格とは言い難いです。
単純に、媒介契約を取りたいがために高い査定価格を付けている可能性があります。
媒介契約さえ取れてしまえば、あとは売主が売出価格を下げることによって不動産会社は仲介手数料をゲットできます。
よって、不動産会社には意図的に高い査定価格出す動機があるのです。
高過ぎる査定価格は、元々、売れる価格ではありません。
あくまでも契約を取りたいがための見せかけの価格になります。
相場のストライクゾーンの価格こそ売れる価格ですので、売れる価格に再設定するようにしましょう。
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3-2.不動産会社を変更する
3ヶ月目というのは、不動産会社の見直しのタイミングでもあります。
専任媒介契約、または専属専任媒介契約で契約している場合には、契約期間が通常3ヶ月ですので、3ヶ月目終了時点が変更する良い時期です。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は1社の不動産会社にしか依頼できない契約です。
専属専任媒介契約については、自分で買主を見つけてくることすらできない契約になります。
それに対して、一般媒介契約は同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。
マンション売却の平均期間が3ヶ月弱となっている大きな理由の一つに、専任媒介契約や専属専任媒介契約の契約期間が「最長3ヶ月だから」という点があります。
不動産会社からしてみると、3ヶ月以内に売れなかった場合、自分たちが切替えられてしまう可能性があるため、なんとか3ヶ月以内に売却しようという意識が働きます。
不動産会社を切替えられてしまうと、自分たちが費用投下した広告費や人件費が全て回収できずに終わるため、不動産会社も何としてでも3ヶ月以内に売りたいと思っています。
そのため、売主としては専任媒介契約や専属専任媒介契約を締結する際は、緊張感を持たせる意味で「3ヶ月経って売れなければ、不動産会社を切り替えます」とハッキリ伝えることが重要です。
不動産会社に、「あ、この客はダラダラやっても契約は切られないな」と思われてしまうと、半年や1年といった販売期間を費やされることになります。
マンションは、長く売ったから高く売れるということは決してありません。
3ヶ月過ぎても売れなかった場合には、それは不動産会社の責任ですので、遠慮なく切り替えるようにしましょう。
尚、専任媒介契約や専属専任媒介契約を解除する場合には、3ヶ月の契約期間満了をもって解除することをおススメします。
契約期間内で解除すると、違約金を要求されるケースもあります。
専任媒介契約や専属専任媒介契約の解除については、以下の記事に詳しく記載していますので、ぜひご参照ください。
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新しく不動産会社を選ぶ際は、再査定を行って不動産会社を探し直すことをおススメします。
マンション査定なら、一括査定サイトの中でHOME4Uがおススメです。
以下にオリコンが公表している「実際の利用者が評価した、オリコン顧客満足度ランキング(マンション編)」を示します。
HOME4Uでは、ランキングの中で赤字で示した「野村の仲介+」、「三井住友トラスト不動産」、「住友林業ホームサービス」、「大成有楽不動産販売」といったTOP5中4社が登録されています。
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安心して依頼できる不動産会社が多く揃っていますので、ぜひ利用してみてください。
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3-3.一般媒介に切り替える
3ヶ月で売却できなかった場合、一般媒介に切り替えるというのも1つの方法になります。
不動産を早く売却するなら一般媒介を選択することが基本ですので、なかなか売れないマンションは、一般媒介で売り方を変えるべきです。
一般媒介契約は同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約になります。
それに対して専任媒介契約や専属専任媒介契約は1社にしか売却を依頼できない契約です。
上図は「一般媒介契約」と、「専任媒介契約または専属専任媒介契約」で売却依頼したときの概念図です。
仮に1社あたり2人の買主を連れてきたとしても、一般媒介で4社依頼したら8人もの買主を連れて来ることになります。
マンション売却といっても確率論で決まる部分は大きいので、複数の不動産会社に依頼すれば当然に買主の見つかる可能性がグンと高くなります。
また、一般媒介で売却を依頼すれば、不動産会社選びに失敗するリスクも減ります。
仮にA社とB社が駄目だったとしても、C社とD社が良い不動産会社の可能性もありますので、不動産会社選びの失敗による売却の長期化も避けられるのです。
さらに、不動産会社へ支払う仲介手数料は、成功報酬ですので、売主がかかる費用は1社に依頼しようが、複数社に依頼しようが変わりません。
4社に依頼したら仲介手数料が4倍になるわけではなく、何社に頼もうが仲介手数料は売却を決めてくれた1社のみに支払うことになります。
尚、一般媒介契約は、不動産一括査定サイトととても相性が良いです。
バーっと査定を依頼して、そのまま売却も全社に依頼すると、とてもスピーディーに売却が進みます。
マンション売却の一括査定なら、HOME4Uがおススメです。
一般媒介では、ストライクゾーンで売却する限り、すぐに売却が決まります。
一般媒介では仲介手数料は不動産会社にとって早い者勝ちであるため、「我先に!」と言わんばかりに買主を連れてきますので、売却がスピーディーになるのです。
一般媒介については、以下の記事で詳しく記載しています。
ぜひご参照ください。
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4.まとめ
以上、マンション売却の平均期間ってどれくらい?日数は78.8日の真実について解説してきました。
マンションの販売期間は3ヶ月弱です。
査定依頼から引渡までを考慮すると、4.5ヶ月程度かかります。
近年は、マンションの売却期間が長引いているため、売り残りにならないよう、3ヶ月以上売れなかったらしっかりと対策することが必要です。
販売期間が3ヶ月を過ぎてしまった場合、「価格を見直す」、「不動産会社を変更する」、「一般媒介に切り替える」といった3つの対処法があります。
売却期間が長引かないように、早めに対処するようにしましょう。
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