「マンション 売れない どうする」と検索している人は多いようです。
いざマンションを売りに出しても、なかなか売れなくて困っている人もいます。
売却が長引き、相当にストレスを感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
現実的に売りにくいマンションはあるものの、そのようなマンションでもきちんと売却できている物件はたくさんあります。
しっかり対策を取れば、マンションを売ることは可能です。
マンションが売れない理由には、「変えられない理由」と「変えることができる理由」があります。
売れないマンションを売るようにするには、「変えることができる理由」の部分を変えていく対策していくことが重要です。
そこでこの記事では、「マンションが売れないときはどうするか?」、その理由と対策についてご紹介いたします。
最後までお読みいただき、マンション売却の一助にして頂けると幸いです。
この記事の筆者:竹内英二 (不動産鑑定事務所:株式会社グロープロフィット代表取締役) 保有資格:不動産鑑定士・宅地建物取引士・中小企業診断士・不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士・賃貸不動産経営管理士・不動産キャリアパーソン |
1.マンション売却に要する平均期間
最初にマンション売却に要する平均日数の統計データをご紹介します。
マンションが売れないといっても、具体的にどの程度の日数を経過すれば「売れない」と言えるのでしょうか。
売れないと判断するには、世間の平均売却日数を確認しておく必要があります。
公益財団法人東日本不動産流通機による「首都圏不動産流通市場の動向(2018年) 」では、レインズに物件が登録されてから成約するまでの平均日数を公表しています。
レインズとは、不動産会社が専任媒介契約等で依頼を受けたとき、物件登録をしなければならない情報サイトです。
レインズは不動産会社しか見ることのできないサイトになります。
不動産会社は、専任媒介契約を受けると7日以内、専属専任媒介契約を受けると5日以内にレインズに物件登録をします。
そのため、レインズの登録から成約(実際に売れること)までの日数を知ると、売却の依頼をされてから売れるまでの日数を知ることができます。
首都圏の中古マンションの過去10年間における「登録から成約に至る平均日数」と「レインズに登録されている物件の件数」の推移を示すと以下の通りです。
2018年では、登録してから成約までの日数は78.8日です。
仮に専任媒介で依頼されてから7日後に登録したとすると、依頼から売却まで85.8日(=78.8日+7日)かかっていることになります。
つまり、マンションの売却期間は統計上、平均では約3ヶ月ということです。
過去10年間の平均日数は71.5日ですので、だいたい3ヶ月弱くらいで売れるのが一般的ということになります。
そのため、3ヶ月以上経っても売れていない場合には、やはり「売れない」と判断すべきです。
3ヶ月経っても売れないマンションは、積極的に対策を取る必要があります。
尚、全体的にここ数年は売却に要する日数が伸びています。
理由としては、売りに出しているマンションが増えていることが挙げられます。
上のグラフの赤いラインは登録件数ですので、不動産会社が売却を依頼されたマンションの物件数になります。
グラフを見ると、「登録件数」と「成約までの平均日数」の動きは、概ね相関しています。
近年はマンションを売却する人が増えてきているため、世の中の在庫も増え、売却に要する日数も伸びてきているのです。
ここ数年は、だんだんマンションが売れなくなっていますので、しっかり対策を取るようにしましょう。
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2.売れないタイミングと売りやすいタイミング
マンションには、売れないタイミングと売りやすいタイミングが存在します。
マンションは2~3月が売りやすく、8月は売れません。
以下に、東日本不動産流通機構が示している首都圏の中古マンションの過去5年における月別の成約数を示します。
橙色は5年間の平均値です。
3月は引越しシーズンで購入者が増え、8月はお盆休みがあるため購入者が少なくなります。
グラフを見ても分かる通り、この傾向は毎年ほぼ同じです。
もし、既に2~3月のトップシーズンを過ぎても売れなかったマンションは、大きな問題を抱えているといえます。
2~3月を過ぎても売却できなかった物件は、しっかりと対策していくことが重要です。
一方で、7~9月あたりで売れなかったマンションは、2~3月まで待つと売れる可能性は残っています。
ただし、3ヶ月以上経って売れない場合には、対策をしておかないと2~3月になっても売れません。
2~3月に確実に売るには、原因を分析してしっかりと対策を取る必要があります。
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3.売れない理由
マンションの売れない理由には、「変えることができない理由」と「変えることができる理由」が存在します。
「変えることができない理由」に目を向けても、一向に売れるようにはなりません。
「変えることができる理由」は何かを把握し、対策していくことが重要です。
そこで、この章では頭を整理するために「変えることができない理由」と「変えることができる理由」を分けて解説します。
3-1.変えることができない理由
売れない理由のうち、変えることができない理由は、主に以下の5つです。
1.周辺環境が悪い
2.狭い
3.駅から遠い
4.築年数が古い
5.日当たりが悪い
3-1-1.周辺環境が悪い
マンション自体に問題がなくても、周辺環境が悪くて売れない物件はあります。
例えば、治安が悪い、高速道路に面している、近くに買い物する場所がない、学区が悪い等々、住みにくい、暮らしにくいと感じるマンションは、なかなか売れません。
また、最寄駅に快速が停まらない、電車の本数が少ない等々の通勤・通学の利便性が悪いエリアも、やはりマンションは売りにくくなります。
さらに、周辺の人口が減っている、高齢化が進んでいる等も売れない大きな原因です。
3-1-2.狭い
売れない中古マンションの特徴として、狭い物件があります。
例えば、周辺の3LDKのマンションは80㎡前後が標準的なのに、65㎡の3LDKを売りに出すとなかなか売れません。
購入者は、広さや間取りを重視しますが、特に「狭い」というのは敬遠される原因です。
現在80㎡に住んでいる人は、65㎡の物件は選択肢から外す傾向にあります。
マンションには、その地域の中に標準的なサイズが存在します。
同じ3LDKでも、例えば東京は狭いですが、千葉なら広いです。
地域の標準よりも狭い物件は、売りにくい物件の一つとなります。
3-1-3.駅から遠い
駅から遠い物件は売りにくいです。
すぐに売れる物件なら駅から徒歩5分以内、なんとか売れる物件なら駅から徒歩10分以内が限度です。
駅から15分や20分といった物件も存在しますが、やはり離れるほど売りにくくなります。
また、駅から離れた物件ほど、周辺環境も連動して悪くなる傾向があります。
立地の悪い物件は、十分な対策が必要です。
3-1-4.築年数が古い
中古マンションは築20年以内に人気が集中しますので、築年数が古いと売りにくくなります。
公益財団法人東日本不動産流通機による「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年) 」では、築年数別の物件の割合を公表しています。
下図のグラフで、青は実際に売れた「成約」の物件割合、赤はまだ売れていない「在庫」の割合です。
成約している物件の割合は、築20年以内に集中しています。
築20年以内は成約の割合が高く、在庫の割合が低いです。
一方で、築20年を超えると在庫の割合が大きくなり、売れ残っていることが分かります。
特に、築25年超からは在庫の割合が顕著に増えています。
築25年超の物件はしっかりと対策していくことが重要です。
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3-1-5.日当たりが悪い
日当たりが悪いことも売れない原因の一つです。
バルコニーの向きが、「北向き」や「西向き」の物件は売りにくくなります。
また、一見すると良いと思える「南向き」や「東向き」でも隣接建物の影となってしまうような物件は日中でも日当たりが悪くなり、売りにくいです。
中古マンションは、新築マンションと異なり、買主が実際に日当たりを確認することができます。
そのため、「南向き」や「東向き」でも低層階は売却に苦戦することがあります。
日当たりだけでなく、隣接建物と近接している場合や、眺望が悪い場合も売りにくさに影響を与えます。
以上、ここまで変えることができない理由について見てきました。
これらの変えることのできない理由は、いわゆる物件の悪条件です。
変えようのない悪条件は、ある意味、気にする必要はありません。
問題は、変えることができる理由が原因で売れなくなっていることです。
そこで次に変えることができる理由についてご紹介します。
3-2.変えることができる理由
売れない理由のうち、変えることができる理由とは、主に以下の5つです。
1.価格が高い
2.当て物件にされている
3.広告が不十分である
4.設備の不具合箇所が多い
5.部屋が汚過ぎる
3-2-1.価格が高い
売れない理由の最たる原因は、価格が高いということです。
全ての物件には、前節で説明したような変えようのない悪条件が、多かれ少なかれ存在します。
これらの悪条件は、「価格に反映させる」ことで売ることができます。
売れない物件は、悪条件が適切に価格に反映されておらず、売出価格が高過ぎることが多いです。
売却前に行った不動産会社の査定価格は、ただ仕事を取りたいがために高く査定している可能性があります。
そもそも全ての不動産会社は、レインズというシステムによって、同じマンション内の過去の取引事例を見ることができます。
参考にしている情報は、ほぼ同じであるため、他社よりも高く査定すること自体、おかしいのです。
マンションは、同じマンション内で過去にいくつも取引が行われているため、相場が明確に形成されています。
リフォームをしていない限り、相場よりも高く売れることは基本的にはありません。
逆に言えば、相場の範囲内で適切な値段設定が行われていれば、売ることは可能です。
売れないマンションは高過ぎる査定価格によって、売出価格が高くなっている可能性があります。
査定価格とは、本来、3ヶ月程度を目途に売却できる価格です。
3ヶ月以上経っても売れない場合には、査定価格が高過ぎる証拠ですので、適正価格に見直すようにしましょう。
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3-2-2.当て物件にされている
適正な価格でも売れない場合、当て物件にされている可能性があります。
当て物件とは、不動産会社が売りたい物件に顧客を誘導するために、わざと駄目な物件としてぶつける物件のことです。
このようなケースでは、売れない原因は100%不動産会社にあります。
不動産会社に原因がある場合には、不動産会社を切り替える必要があります。
昔から不動産会社を切り替えると、売れなかった物件が売れるというケースが良くあります。
価格の見直しと不動産会社の切り替えは、メインの対策なので合わせて検討するようにしましょう。
3-2-3.広告が不十分である
売れない理由として、以下のような点で広告が不十分である場合があります。
- チラシが十分に撒かれていない
- インターネット広告の写真の量が少ない
- SUUMOやアットホーム、ホームズの3大ポータルサイトに広告を載せていない
- 修繕履歴がアピールされていない
上記の広告の中で、特に重要なのがチラシです。
中古マンションの売却では、駅から離れている、築年数が古い等の条件の悪い物件ほど土地勘のある近所の人が買う傾向があります。
全く地縁のない他県の人が、わざわざ条件の悪い中古マンションを購入するケースは少ないです。
他県からの転勤者は、便利で、住みやすそうな場所のマンションを探します。
マンションで一番良い買主は、同じマンションの住人です。
親や娘夫婦を近くに住まわせるために、同じマンションの別の部屋を購入するようなケースです。
また、近くの賃貸マンションに住んでいる人が、近所の中古マンションを購入するケースもあります。
生活拠点を変えたくない近所の人にとっては、「今の家から近いこと」に価値があるのです。
このような人たちに対しては、チラシのポスティングというアナログな広告が最も効果があります。
同じマンションや近所の人は、「物件が出れば検討しても良いかな」という受け身の感覚ですので、SUUMOやアットホームで能動的に物件を検索をしているわけではありません。
そのため、自ら「今、売っていますよ!」とアピールできるポスティングの方が効果があります。
売れない物件ほど商圏は狭いので、同じマンションや近隣のマンションに集中的にチラシを撒く必要があるのです。
広告戦略は、不動産会社によって変わるため、広告が不十分な場合には不動産会社を切り替えるということが対策になります。
3-2-4.設備の不具合箇所が多い
設備の不具合箇所が多いと売れない原因となります。
設備とは、例えば「お風呂の追い焚き機能」や「浴室乾燥機」、「インターフォン」、「ディスポ-ザー」、「給湯器」等のあらかじめ備え付けられた住宅設備のことです。
中古マンションの購入者は、設備がきちんと動くことを気にする人が多くいます。
築20年以内の物件に人気が集中するのは、設備がきちんと動作する物件が多いためです。
設備の不具合箇所が多い場合は、修繕した上で売却することをおススメします。
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3-2-5.部屋が汚過ぎる
古いマンションでは、内覧の際、あまりにも部屋が汚過ぎることで印象を落としてしまうことがあります。
内覧とは購入希望者に家の中を見せることをいいます。
内覧の際、家の中にモノが溢れかえっている状況では、購入希望者は買う気を無くしてしまいます。
マンションを売ると決めたら、まずはモノを捨て、家を綺麗に見せることが重要です。
また、中古マンションでは、特にキッチンや洗面所、バス、トイレ等の水回りで古さが目立ちます。
例えば、以下のようにキッチンが汚いと、古びた印象を与え、売れない原因となることが多いです。
モノを捨てることや水回りを綺麗にすることは、やればできることですので、しっかりと対策を取るようにしましょう。
尚、内覧の方法については以下の記事に詳しく紹介しています。
ぜひご参照ください。
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4.売るための10個の対策
この章では売れないマンションを売るための10個の対策についてご紹介します。
4-1.適正な売出価格に再設定する
売れないマンションを売るための対策では、必ず適正な売出価格に再設定することを行います。
これは値引きとは意味が異なります。
値引きとは、売れるマンションにおいて買主との交渉で行われるものです。
そもそも売れないマンションは、価格自体が適正ではないため、その価格を適正なものに設定し直す必要があります。
これは値引きではありません。
前章で示したように、売れない理由の中には、立地や築年数のような「変えることができない理由」がありました。
「変えることができない理由」に対する対策は、あえて言えば「適正な売出価格をつけること」が唯一の対策となるのです。
そのため、「変えることができない理由」対処するために、再度、価格を調査しなおすようにしてください。
価格の調査は、無料の一括査定サイトを使うことをおススメします。
一括査定サイトは、複数の不動産会社から無料で査定を取ることができます。
ここで、ポイントとなるのが、取得した複数の査定額からは、一番低い価格を参考にするということです。
一括査定サイトを利用すると、1社は高過ぎる価格が出てきます。
一方で、下限値の近くに似たような価格が並びます。
この下限値の近くの似たような価格こそ、実際に売れる適正な価格です。
下限値近くに、2社程度、近い価格が出てきたら、それは不動産会社がしっかりと事例を調べて査定してきた価格になります。
実際に、今、売れていないわけですから、くれぐれも高い査定価格には目移りしないようにしてください。
価格を再調査するなら、一括査定サイトの中でHOME4Uがおススメです。
以下にオリコンが公表している「実際の利用者が評価した、オリコン顧客満足度ランキング(マンション編)」を示します。
HOME4Uは、ランキングの中で、「野村の仲介+」、「三井住友トラスト不動産」、「住友林業ホームサービス」、「大成有楽不動産販売」といったTOP5中4社が登録されています。
HOME4Uは、マンション売却が得意な不動産会社が多く揃っていますので、マンションの査定では特におススメです。
マンション売却が得意な不動産会社は、過去の取引事例を十分に調べ、適正な査定を行ってくれます。
適正な売出価格がいくらなのかが分かるようになりますので、HOME4U使って価格の再調査を行いましょう。
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4-2.不動産会社を変える
売れないマンションを売る対策としては、不動産会社を変えることも効果的です。
不動産会社を変えることで一番期待できることは、「広告の向上」になります。
「チラシが増える」、「ネット広告が良くなる」等、広告が変われば必然的に内覧数も増え、売れる確率がグッと高まります。
広告に関しては、不動産会社にあれこれ要求すると、別途、広告料を請求されることがあります。
広告料は、売主からの依頼があれば、不動産会社が別途、請求しても良い報酬として認められています。
そのため、現状、あまり広告が不熱心な不動産会社に過度な要求をすると、広告料を請求されかねないため注意が必要です。
それであれば、最初から広告が上手な不動産会社に依頼しなおした方が、確実ですし、コストもかかりません。
広告は、不動産会社の中で最も力の差が出る部分です。
チラシの作り方や撒き方、ネット広告の載せ方等を熱心に研究している会社は黙っていても買主に刺さる広告を行ってくれます。
広告の研究が熱心な不動産会社に依頼すれば、売れないマンションも売れるようになるのです。
尚、不動産会社の切り替えには注意が必要です。
不動産会社に仲介を依頼する契約のことを媒介契約と呼びます。
媒介契約には「一般媒介契約」、「専任媒介契約」、「専属専任媒介契約」の3種類があります。
「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」は1社の不動産会社にしか依頼できない契約です。
「専属専任媒介契約」については、自分で買主を見つけてくることすらできない契約になります。
それに対して、「一般媒介契約」は同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。
専任媒介や専属専任媒介の契約期間は最長で3ヶ月間ですので、不動産会社との契約は3ヶ月となっていることが多いです。
契約期間中に専任媒介や専属専任媒介を切ると、費用が請求される場合があります。
そのため、中途解約はせず、3ヶ月の契約期間が満了した時点で、不動産会社を見直すようにしましょう。
専任媒介や専属専任媒介の解除については、以下の記事に詳しく記載しています。
ぜひご参照ください。
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4-3.修繕履歴を洗い出してアピールする
マンションでは、修繕履歴の情報が買主に対して有効なアピール材料となります。
売れないマンションを売るようにするには、修繕履歴を洗い出してアピールすることが重要です。
全国宅地建物取引業協会連合会では、「 2017年「不動産の日」アンケート調査結果 」において、購入者に対し「中古住宅の購入を考える場合、必要と思われること」についてのアンケート調査を行っています。
「履歴情報」とは、具体的に修繕履歴のことを指します。
上記のグラフを見ると、買主は過去の修繕履歴を非常に気にしていることが分かります。
マンションの良いところは、専有部をリフォームしていなくても、共用部をマンション管理組合でしっかりと修繕しているという点です。
外壁塗装やエレベーターの入替等の共用部の修繕も、大きなアピール材料となります。
もし、今の不動産会社がチラシや広告で過去の大規模修繕をアピールしていないようであれば、それは良い広告とは言えません。
せっかくの好材料をアピールしないことは、マンションの価値を伝えていないことと同じです。
マンションの大規模修繕情報については、管理組合が発行する「重要事項にかかる調査報告書」という書類に記載されています。
「重要事項にかかる調査報告書」は5千円~1万円程度するものですが、売却を依頼された不動産会社が購入して調査するのが通常です。
しかしながら、不動産会社によっては、この「重要事項にかかる調査報告書」を購入しない会社もあります。
このような不動産会社に依頼してしまうと、アピールできる大規模修繕もアピールできません。
最低でも売却は「重要事項にかかる調査報告書」を購入してくれる不動産会社に依頼し、過去5年くらいの間に行われた大規模修繕はアピールしてもらいましょう。
尚、過去5年くらいの間にキッチンやバス、フローリング等、専有部分のリフォームを行っている場合は、大きなアピールポイントとなります。
チラシには、必ずしも売却のために行ったリフォームだけしか書いてはいけないわけではありません。
例えば、2019年に売るようなマンションであっても、「2014年 キッチン交換」、「2015年 カーペット交換」、「2016年 洗面化粧台交換」というように、過去5年以内に自分のために行ったリフォームもチラシに記載すべきです。
同様に「2016年 外壁塗装」等、共用部の大規模修繕も書き込むと、物件がきちんと管理されてきたことがアピールできます。
専有部分でリフォームを行っている場合には、「いつ何を行ったか」を整理してチラシに書いてもらうようにしましょう。
4-4.広告写真の量を増やす
マンションの売却では、SUUMOやアットホーム等のインターネット広告において、写真の量も重要です。
マンションを売れるようにするには、広告写真の量を増やすようにしてください。
全国宅地建物取引業協会連合会では、「 2017年「不動産の日」アンケート調査結果 」において、購入希望者に「あると便利な情報」についても調査を行っています。
調査の結果では、「物件の写真」が断トツ1位です。
写真は全部屋を載せることが基本です。
売主が行う具体的な対策としては、全部屋の写真を撮られても良い状態にするということになります。
写真を撮られても良い状態にしておくと、あとは広告センスの良い不動産会社に依頼すれば、上手く広告を載せてくれます。
4-5.集中的にチラシを撒いてもらう
条件の悪いマンションは、同じマンションや近隣にチラシを集中投下することが重要です。
もし、今の不動産会社が全くチラシを撒いていないようであれば、不動産会社は変えるべきです。
売主が行う対策としては、「広告熱心な不動産会社に切り替える」という対策になります。
マンションは、たった1人に1回だけ売れれば良いので、テレビコマーシャルのように広く広告をする必要がありません。
むしろ、購入する可能性が最も高い近隣住民に対して、局所的にチラシを撒く広告手段が効果的です。
条件の悪いマンションほど、ターゲットを土地勘のある人に絞ることが重要となります。
4-6.設備修繕または設備保証を行う
設備修繕または設備保証を行うことも有効な対策となります。
正常に作動しない設備が多く、内覧はあるものの成約に結びつかないケースにおいては、設備修繕は特に効果的です。
不動産会社の中には専任媒介や専属専任媒介を行うと、無料で設備の修繕や保証を行ってくれる会社があります。
例えば、以下のような不動産会社では、設備補修等の無料サービスがあります。
- 「野村の仲介+」:あんしん設備補修
- 「三井住友トラスト不動産」:住宅設備修理サポート
- 「近鉄不動産」:住宅設備保証サービス
- 「住友林業ホームサービス」:あんしん保証付仲介システム
- 「大成有楽不動産販売」:マンションリペア
売却前の設備は無料で修繕できる時代になっていますので、不動産会社の無料サービスを上手く利用して売却対策をするのが良いでしょう。
尚、不動産会社の無料サービスについては、以下の記事に詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。
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4-7.瑕疵担保保険を付保する
売れないマンションを売る対策としては、瑕疵(かし)担保保険の付保も有効です。
瑕疵保険とは、住宅の特定部分の隠れた瑕疵が見つかった場合に生じる補修費用などの経済的な負担を保険金でカバーすることができる保険です。
瑕疵とは、売買契約の目的物が通常有すべき品質・性能を欠くことをいいます。
瑕疵保険が付保されていると、買主は保証付きのマンションを購入できるようなものですので、物件に付加価値が生じます。
また、築25年超のマンションは、そのまま売ると買主が住宅ローン控除を利用することができません。
しかしながら、瑕疵保険が付保されると、築25年超のマンションであっても住宅ローン控除が利用できる物件へと変わります。
全国宅地建物取引業協会連合会では、「 2016年 土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果 」において、売主に対し瑕疵担保保険の利用効果を調査しています。
アンケート結果の1位は「自宅の売却が希望価格で売れた」となっています。
売れないマンションを売れるようにする対策としては、かなり効果が高いので、ぜひ瑕疵担保保険の付保を検討しましょう。
瑕疵担保保険については、以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひご参照ください。
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4-8.ハウスクリーニングを実施する
キッチンなどの水回りが汚い場合、ハウスクリーニングを実施するのも効果的です。
ハウスクリーニングの相場としては、以下のような金額感となります。
ハウスクリーニングは、5~6万円の費用をかけて実施する人が多いです。
全てを行う必要はありませんが、ポイントを絞って水回りを中心としてプロに掃除してもらうようにしましょう。
4-9.空き家の状態にして売る
家は住みながらよりも空き家にした状態の方が綺麗な印象を与え、売りやすくなります。
そのため、住みながら売っていてなかなか売れない人は、空き家の状態にして売るというのも効果的な対策の一つです。
今の家の住宅ローンが残っている人は、「つなぎ融資」を使うと空き家にして売却することができます。
つなぎ融資とは、住み替えで売却を先行させるつもりだったのに購入が先になったときに使う融資です。
つなぎ融資は、毎月の返済が発生する融資ではなく、売却が決まったときに一括して全額資金を返済します。
資金繰りの「つなぎ」として利用できるので、先に購入を行い、空き家にしてから売却することが可能です。
つなぎ融資には事務手数料(10万円程度)や高め金利(3%程度)が発生します。
ただし、売却がしやすくなることを考慮すれば、検討する価値はあります。
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4-10.ウォシュレットだけ新品にして売る
現状、空き家の状態でも売れない場合は、ウォシュレットだけ新品にして売るのも有効な対策となります。
中古マンションでは、購入後、どんなにお金をかけない人でも、ウォシュレットだけは交換するという人は多いです。
多くの買主は、ウォシュレットは交換予定であるため、あらかじめ新品に交換されていると喜ばれます。
売れないマンションを売れるようにするにはリフォームも効果的ですが、リフォームは投じた費用を必ずしも回収できるとは限らないため、結構、難しいです。
一方で、ウォシュレットだけであれば、大きな金額にはなりません。
しかも、チラシに「ウォシュレット新品交換済!」と書けるので、アピールポイントが増えます。
ウォシュレット交換は、買主のニーズが一番高い部分ですので、費用対効果が大きいです。
現状、空き家の状態であれば、一歩踏み込んで、ウォシュレット交換の対策を行ってみましょう。
5.不動産会社を選ぶ4つのポイント
売れないマンションを売る対策として、不動産会社の切り替えがあります。
この章では、不動産会社を切り替える際、どのような点を重視して選ぶべきかについてご紹介します。
1.良くチラシを投函している
2.ネット広告が上手い
3.無料付加価値サービスを提供している
4.専門性を感じられる
5-1.良くチラシを投函している
マンション売却で選びたい会社の一つに、普段から自分のマンションに良くチラシを投函している地元密着型の不動産会社があります。
このような不動産会社は、自分のマンションの売却を依頼しても、十分にチラシ投函をしてくれます。
チラシ広告が不十分になるという心配はありませんので、良くチラシを投函している不動産会社は優先的に選ぶようにしてください。
また、地元密着型の不動産会社は、売出価格の設定が適切です。
売れないマンションを売却するなら、まずは良くチラシを撒いている不動産会社を選びましょう。
5-2.ネット広告が上手い
もし、チラシを良く撒いている不動産会社に依頼していたのに売却できない場合、少し視点を変える必要があります。
地元密着型の不動産会社でも売れない場合は、ネット広告が上手い会社を選ぶようにしてください。
例えば、HOME4Uで査定をした不動産会社の中で、気になる不動産会社がどんな広告を売っているのかを調べます。
SUUMOなどは、検索キーワードに不動産会社名を入力すると、その不動産会社が扱っている他の物件の広告を見ることができます。
他の物件の広告が、例えば「写真が多い」、「近隣の情報も伝えている」、「リフォームもしっかりとアピールしている」等の特徴があれば良い広告をしていると言えます。
何よりも自分か買主になったつもりで、「この会社は熱心に物件の魅力を伝えようとしているな」と感じることが重要です
会社ごとに広告の仕方を見比べると、やる気や熱意の違いがよく分かります。
ネット広告も意識して不動産会社を選び直しましょう。
5-3.無料付加価値サービスを提供している
専任媒介又は専属専任媒介を行う場合には、無料付加価値サービスも重要なポイントとなります。
無料付加価値サービスは、設備補修や瑕疵担保保険の付保、ハウスクリーニング等、会社によって様々です。
せっかく無料サービスを利用するのであれば、自分のマンションの状況にあったサービスを選ぶことが重要です。
私は、個人的には三井住友トラスト不動産が行っている「建物状況調査サービス・瑕疵保険サービス」が一番良いと思います。
瑕疵担保保険を付保しようとすると、8~9万円程度かかりますので、それが無料でできて、なおかつ、高い効果を発揮するため、かなり価値の高いサービスといえます。
不動産会社を選ぶ際は、どのような無料サービスを利用できるのか、確認した上で選ぶようにしましょう。
尚、もちろん不動産会社をあえて1社に絞らず、一般媒介で複数の不動産会社に依頼するのもアリです。
無料付加価値サービスは使えなくなりますが、その分、依頼した不動産会社の分だけ売れる確率は上がります。
ピンとくる無料付加価値サービスがない場合には、無理に1社に絞らず、複数の不動産会社に売却を依頼する対策も良いでしょう。
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5-4.専門性を感じられる
売れないマンションを売るには、何といっても営業マンに専門性を感じる不動産会社を選ぶことが重要です。
売れないマンションは、売れない理由のうち、往々にして「変えられない理由」を多く含んでいます。
条件の悪いマンションを売るには、知恵と工夫が必要です。
知恵と工夫は、豊富な経験と十分な専門知識を要します。
よって、難しいマンションを売るには、専門性を感じるような営業マンに依頼しなければなりません。
今、あなたはこの記事を読んでいますが、本来であれば売れないマンションを売るための相談は、依頼している不動産会社にすべきです。
依頼している不動産会社の反応が悪い、アドバイスをくれない等の不満があるから、売主自らが悩んでしまっているのだと思います。
売れないマンションを売るのは、本来は不動産会社の仕事です。
悩みを解決してくれない不動産会社には見切りをつけ、頼りがいのある不動産会社を選ぶようにしましょう。
6.まとめ
以上、マンションが売れないときはどうする?売れない理由と10個の対策について解説してきました。
売れないマンションを売る対策は、「適正価格の見直し」と「不動産会社の切り替え」の2つが大きな柱となります。
「適正価格の見直し」と「不動産会社の切り替え」を中心に据えて、残りは自分のマンションの状況に合わせて適宜対策を取るようにしてください。
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